小林泰三

小林泰三の巨大フジ隊員への執着が楽しめる公式コラボ小説『ウルトラマンF』

ウルトラマンF (ハヤカワ文庫JA)作者:小林 泰三早川書房Amazon 小林泰三さんでウルトラマンと言えばハードSF仕立てのパロディ小説『ΑΩ』ですが、こちらの『ウルトラマンF』は円谷との正式なコラボ作品。デビュー後の初長編でいきなりウルトラマンネタをやら…

小林泰三『惨劇アルバム』

小林泰三さんお得意の、「思考の機序がなんかおかしい人々」を題材としたサイコホラー/ブラックユーモア短編集。良くも悪くもいつも通りの小林さんという感じですが、「清浄な心象」あたりはちょっと時事ネタっぽい趣があって面白かったです。各話で焦点の当…

『天体の回転について』

「海を見る人」の正統続編とでも言うべき、直球のSF短編集。表紙の女の子は起動エレベータのガイドさんで、つまり「軌道エレベータガール」という洒落なんでしょうか。 表題作は、このガイドさんが起動エレベータの仕組みについて延々と説明してくれる内容。…

わーい小林泰三さんがSF長編書いたよー! - 『天獄と地国』

『ΑΩ』以来約10年ぶりに、小林さんがド直球の本格SF長編を書いてくれました! なんて言ってしまうと、他にも『ネフィリム』*1とかあるじゃないかと怒られそうですが……。ただ『ネフィリム』*2が特撮パロディ的なB級ホラーバトルを指向してるっぽいのに対して…

『セピア色の凄惨』

地の文がなく、会話劇と独白劇で構成された異色の短編集……といいたいところですが、小林さんの小説ではこういったスタイルが頻出するので別に珍しくもありませんね、はい。「相手と話がぜんぜん噛み合わないのだけど、向こうの意見にも一見矛盾が見あたらな…

当たり前のように臓物だらけ -『臓物大博覧会』

いつも通りの小林さん短編集。タイトルの印象とは反し、「臓物に注目した作品群」というまとまりにはなっていません。いつも通りの小林さんが、特になんの縛りもなく綴った短編の集合と考えた方がしっくりきます。十作中、最初と最後の二作が書き下ろしなだ…

『ネフィリム 超吸血幻想譚』

「助けてー。早くしないとあたし、この人に犯られちゃうわー」 人知を超えた力を持つ吸血鬼VS人間が科学武装した吸血鬼殺戮組織VS吸血鬼を凌駕する第三の怪物ストーカー。『ΑΩ』みたいにファンタジーを無理やりハードSFの文脈で解釈したというよりも、古き良…

『忌憶』

祥伝社文庫から出ていた『奇憶』に加え、記憶に関する二つの短編を加えたオムニバス作品。作品間の登場人物が共通していて「著者初の連作ホラー短編」なんてオビに銘打たれてますけれど、そのことを用いて全体に大きく作用してくる仕掛けというのは多分ない…

『脳髄工場』

角川ホラーからの久々の新刊。いつも通りぐろんちょSFな小林節に加え、彼にしては珍しい数篇のショートショートも読めたことが新鮮でした。「コオ!」に代表される変な日本語もやはり健在。ウルトラマンの次は魔法少女ものとか書けばいいと思いました。飛び…