日日日

『狂乱家族日記 番外そのいち』

外伝短編集。日日日さんはまだ短編書くのが苦手そうな感じで、どうも長編とあまり変わらない方法論で短編を書こうとしている様子がありました。尺の短い短編で面白さを出すには、その短さを挽回するインパクトやアイデア、鋭さが必要で、そういった要素がな…

『蟲と眼球と白雪姫』

完結。日日日さんにとっては、最後まで書ききった初のシリーズということになりますね。日日日さんの弱点が、ここでもやはり出てしまっていたように思います。伏線の弱さと、風呂敷の畳めなさ。終盤は神の力が云々というデウス・エクス・マキナ的展開なので…

『ふたり。 新風舎文庫大賞短編アンソロジー』

新風舎大賞作家の短編アンソロジー集。テーマは「ふたり」。日日日さん以外は初読でした。先頭に有名作家の日日日さん、中盤にはデビュー間もない新人を配置し、最後はキャリアのある堅実な作家で締めるという構成。 『夜汽車の骸骨』日日日 死者を運ぶ夜汽…

『アンダカの怪造学III デンジャラス・アイ』

気がついたら一年近くも積んでました読了本。"人間とモンスターが仲良くできる世界"を目指す主人公・空井伊依さんの前に今回立ちはだかったのは、幼馴染の男の子。彼はモンスターを危険な存在と断じ、人間との繋がりを絶とうと目論んでいます。正反対の二人…

中二病のブレイクスルー『ピーターパン・エンドロール』

現実の世界に実感が持てず、虚構に惹かれる主人公。そんな主人公の前に現れた、不思議少女「旅人さん」。虚構の象徴のような彼女に対して、しかし主人公は強い「実感」を抱いてしまいーという云々かんぬん。ああもう、快哉を叫びたい気分です。いえ、別に驚…

『狂乱家族日記 六さつめ』

うー。うーん。さすがにこれは。今回は人間VS動物。地球環境を壊す傲慢な人間と、虐げられる自然の動物たちーというよくある対立の構図です。ご多分に洩れず本作も人間と動物の融和の道を探るという方向になるんですけれど、このテーマの扱い方がちょっとあ…

『蟲と眼球と愛の歌』

よーしよしよし。大きな弱点だった話運びもだんだんと改善されてきて、上手くはなくとも目に余るほどではありません。とりあえず作品として最低限の質は保ったまま、日日日さん自身の良いところも勿論ちゃんと表現できています。どうやら次が最終巻というこ…

『狂乱家族日記 伍さつめ』

むー。やっぱり構成で失敗してるかなーっていう。特にこのシリーズに顕著だと思うんですけれど、お話全体を引っ張っていくような明確な「事件」がなかなか起こらないんですよね。あまりに起伏がないというか、読んでいるといつの間にか百ページが過ぎてしま…

『蟲と眼球とチョコレートパフェ』

はい、すごうく面白かったです。日日日さんにはいつか一皮むけてほしいなあ、とは思っていましたけど、まさかそれがこんなに早く来るなんて。構成がまずいことと、お話の畳み方が苦手なことと、主張が妙に偏見深いところ、日日日さんの大きな弱点はその三つ…

本日一信

傑作でした。こいつら私を泣かす気ですか。……あーあでも他の人の言及を見て回るとそうでもないし。まったく私の感想なんててんでアテになりませんね!

本日一信

眼球シリーズ三作目『蟲と眼球とチョコレートパフェ』読んでます。ちょっと信じがたいんですけど、今の正直な感想を。全体の八割くらいまで読み進めて、ここまで 傑 作 。 化けたという表現は大袈裟ですけど、やってくれたとは思います。日日日さんはお話の…

『狂乱家族日記 四さつめ』

雹霞さん千花さんメインのお話。頁数はいきなりの四百七十ページ。川上さんのせいで感覚麻痺してましたけど、よく考えたらこれってかなり分厚い部類に入るんですね。後日談としての日記はともかく、本編の時系列までばらばらな構成になっているのは一長一短…

『アンダカの怪造学II モノクロ・エンジェル』

相変わらず上手いんだか下手なんだか。というか上手くて下手なんだと思いますけど、まあ、最近は少し安定してきたんじゃないかなとも思います。ネーミングのセンスもいいのか悪いのか分かりません。滅作とか空井(すかいい)とかはどうかと思いますけど、嫌凪…

『蟲と眼球と殺菌消毒』

眼球! 眼球! 眼球えぐっちゃうぞ第二巻。前回の八百比丘尼伝説に続いて今回は手長鬼と来たので、このシリーズは日本の民話と旧約聖書で攻めるつもりみたいですね。女の子が酷い目に遭うシーンもたくさんあっておなかいっぱい。 えっと、ちょう面白かったで…

『狂乱家族日記 参さつめ』

わ、面白い面白い。このシリーズは日日日さんの作品の中でいちばん自分に合わないと思ってましたけど、これはすごく良かったです。 中盤少し間延びしたきらいもありましたけど、後半の盛り上がりが素晴らしかったです。伏線が上手く機能していて、そう来るか…

『うそつき 〜嘘をつくたびに眺めたくなる月〜』

若いっていいですね。後半の展開はたしかに安易。とくにお姉さん関係のエピソードは、こういうのを道具立てとして持って来られるのは生理的にどうも受け付けません。でも6章以降の展開はベタが良い方向に突き抜けた感があって、逆に気持ちがよかったです。や…