米澤穂信

『ボトルネック』

「人生は罰ゲームです」なんてフレーズがありますが、これはまさにそういうお話。読んでいて歯軋りしたくなる小説です。 ほとんど何の疑問も抱かず「タイムループもの小説」のひとつとして読んでいたのですが、よく考えたらこれ、別に時間移動なんて一切して…

楽しかったです『クドリャフカの順番』

文化祭小説! 読んでいてとても楽しい、「読んでよかった」と思える小説でした。 古典部の四者四様、古典部の一人一人がとても活き活きと描かれています。かつて経験したハレの日に郷愁を覚える人、自分の人生にはなかった賑やかなお祭りに羨望を覚える人、…

『犬はどこだ』

かつていつぞや、行く先々たくさんのサイトでこの作品の話題が挙がっていた頃がありました。話題に乗り遅れること三年、今回の文庫化でようやく読めましたよ! 米澤さんにとって初めての「少年少女が主人公でない作品」だからでしょうか、それとも主人公が物…

『愚者のエンドロール』

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」そんな省エネ指向の主人公が、なぜか厄介ごとに巻き込まれては結局問題を解決するために動いてしまう古典部シリーズ第二段。海燕さんが米澤穂信さんのことを「名探偵の挫折」を…

『さよなら妖精』

「哲学的意味がありますか?」というオビの惹句を見たときは「ああ、今回はそういうヒロインなのか」と思ってしまいましたけど、ものの見事に裏切られました。思春期にありがちでいかにも観念的なアレを連想させるこの台詞が、まさかここまで地に足の着いた…

『夏期限定トロピカルパフェ事件』

甘いです。 たしかに本作最終章のミステリー的仕掛けはよく出来たものですし、それがお話のテーマと直結しているのも見事。物語とミステリー部分の乖離が激しい昨今のジャンル事情からすれば、物語の構造そのものをミステリーとして扱っている本作は賞賛に値…

『春期限定いちごタルト事件』

うーん。『氷菓』でも同じ感想を持ちましたけど、あくまで「推理もの」として見る限りにおいて、米澤さんの作品は私の肌に合わないのかもしれません。推理の過程があまりにもザルというか、冗談としてならともかくこの理屈に疑問なく頷けてしまう人はそのう…