長野まゆみ

『新世界 5th』

一年くらいかけて、一冊ごとに間を空けてゆっくり読みました。そのせいで、記憶がおぼろげでお話の全体を把握しきれなかった気がするのが残念です。でもこの記憶のあいまいさは、本作の漠然とした雰囲気によく似ている気もします。 二者が情事を交わすに際し…

性別を超越した恋愛小説(同性愛的な意味でなく) - 長野まゆみ『新世界 4th』

だからこの人たちは「犯人は実は双子でした!」級の驚愕の真相をどうしてこうもこともなげにあっさりと語りますか! 巻末では読者の質問に答える設定解説みたいなことまでやっちゃって(しかもものすごく淡々と答えてる)、そのさっぱりしすぎた態度に驚きを禁…

『新世界 3rd』

ジャンル不明って言いましたけど、もう別にBLでもいいじゃんと思った第三巻。相変わらず設定に対する"拘り"がぜんぜん感じられないのが興味深いです。 そこまでの設定をひっくり返すような衝撃的な事実が、この作品では何のタメもなくさらりと述べられ、しか…

『新世界 2nd』

かなり込み入った世界観のSFではあるんですけど、相変わらず設定に対する気負いは感じられません。お話を進めるための必要最低限の情報だけを、渋々小出しにしている感じすらあります。 その一方で、作中に描かれる偏愛的なまでの「少年」への眼差しからは、…

『新世界 1st』

ジャンル不明。分からせる気があるのかないのか。分からせるためでなく感じさせるために書かれた作品なのだと思います。ふっしぎー。 環境、種族、社会状態など、設定自体はかなり入り組んだ作りになってはいます。設定面に力の入った作品の場合、その設定の…