COMIC

長期休暇を機会に腰を据えて脳をやられたい人にオススメのネット作品3つ

前々から興味はあるけど、手をつけるタイミングが見つからなくて先伸ばしになってしまう作品ってありますよね。大作だったり、脳を使いそうだったり、沼からの圧の高まりを感じる作品だったりするとなおさらです。 もしそれがネットからアクセスできる作品な…

木多康昭『喧嘩稼業(1)〜(3)』 死なないでくれ石橋

じゅ、10年ぶりに木多康昭に手を出してしまった……。 前々からTLの悪い人たち(エクスカリバーの顔をしたミステリ作家や犬の紳士*1など)の推しの高まりは感じていたものの、「これ以上木多康昭に毒されるのは嫌だ……」とか言って抵抗していたのですが、お餅氏の…

碓井ツカサ/円居挽『オーク探偵オーロック(1)』

オーク探偵オーロック (1) (角川コミックス・エース)作者: 碓井ツカサ出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2017/03/04メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る もうタイトルと表紙が完全に作品のコンセプトを説明してるんですが、オー…

『りちょうとえんさん』感想

「私は本とかゲームの感想が書きたくてはてなダイアリーを始めただけなのに、いつの間にかこういう漫画でゲラゲラ笑うアカウントになってしまった……。自分が悪いインターネットにこんなに深入りしてしまっていたなんて……」と身につまされる本でした(別にアフ…

人間基準のスケールでは動いてくれない無慈悲で巨大な超構造体世界 - 弐瓶勉『BLAME!』

シドニアがアニメ化された今更になって、なぜか旧作を読み始めた私。さいきんKindle Paperwhiteを買ったので、それの体験もかねて。面白いものを読んだ後はだいたいいつも同じこと言ってる気がしますが、こういうアタマをガツンと殴りつけて世界観を啓いてく…

『Landreall(1)-(22)』

普段あんまり意識してませんがうちはいちおう感想サイトでして、ここで「感想を書くこと」とは「作品の鑑賞に際して芽ばえた感覚や連想した考えを何とかしてうまいこと言語化すること」と定義しています。なんも言わないよりはなんか言った方が自分の思うと…

諫山創『進撃の巨人』がギャグ漫画すぎるのでマサルさんのフーミンに読ませたい(『進撃の巨人(1)-(11)』感想)

この漫画がレビュワー界隈(なにそれ)でいちばん流行ってたのって、2010年末とか2011年初頭でしたっけ? いちおうその頃に一巻だけ確保したんですが、「流行りものはブームが落ち着くまで寝かせた方が落ち着いて読めるしー」とか言い訳しつつ例によってすっか…

ザ・伝奇漫画 - 諸星大二郎『暗黒神話』『孔子暗黒伝』『無面目・太公望伝』

前々から興味はありつつ、今ひとつきっかけがなくて読んでいなかった作家さん。先日封神演義関係の連続ツイートをしていた時にezoryさんに薦められて、いい機会と思いまとめて買いしてきました。やー、面白かったです。もともと高橋克彦さんの伝奇SF*1とか大…

日常系美少女萌え四コマ感想(白目) - ちょぼらうにょぽみ『あいまいみー(3)』

愛ちゃん含む各キャラが順調に人間性をかなぐり捨てており地獄が深まっていますが、「私の代わりにこの人たちが気違いになってくれるから私は気違いにならなくてもいいんだ」と考えて救われる少年少女もきっと多いことでしょう(いません)。 さてだらだらとキ…

『第三世界の長井』

あのさぁ……(棒読み)。 なにせ『神聖モテモテ王国』をタイトルだけで判断してラブひなとかラブやんとかと同じジャンルだと思い込んでたくらいなので、ながいけんさんの本を読むのは初めてです。実写版デビルマン。 エクリチュール・アンカーとかもっともらし…

『アキタランド・ゴシック』

女の子が血まみれで泣き叫んでたりするけど単なる逆間接機械化手術の光景だから問題ないよ! 健全なイラストサイトだよ! と言い張りながらR18-Gなイラストをたくさん描いてきた器械さん、まさかのまんがタイム萌え四コマ進出です。十年来の秋田モルグファン…

見たものを見たまんま見た世界 - 安倍吉俊『リューシカ・リューシカ(1)』

第一印象で「よつばと?」と思ってしまった自分を恥じ入ってジャンピング土下座かましたいくらい、独特な作品だと思うのです。どちらも「子供」を描いた作品ではありますが、「視点」の質がかなり違います。『よつばと』も、子供目線の世界を楽しみ、懐かし…

感想:ちょぼらうにょぽみ『不思議なソメラちゃん』

東方キチガイ四コマ四天王の頂点に立つちょぼらうにょぽみさん(一児の母)のオリジナル四コマ漫画。「かわいい女子たちのゆるふわゲスライフ」というオビの文句に全く嘘偽りのないきちがいです。 一ページ目から主人公が大量の注射を打ってる 「起きないと獣…

感想:中村明日美子『同級生』

表紙の印象、特に目つきの鋭さというか悪さから「怖い絵だなー」と勝手に怯えてたのですが、中身は全然怖くありませんでした。とても繊細で、その繊細さゆえに生まれる鋭さが、ああいう目つきを生み出しているのかもしれません。 私にとって「京大」は萌えキ…

もうこれ本編でいいんじゃないかしら - 『ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編(下)』

面白かったです! 初読時は麻雀の基本ルールくらいしか知らなかったので、ゲームの展開をよく理解できなかったりもしたのですが、それでも「とにかく何かすさまじいが起こっている」ことが伝わる漫画でした。これはもう山田J太さん凄い、としか。その後、た…

『ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編(上)』が本気のひぐらしな件

ひぐらしの外伝漫画はあまり追いかけていないのですが、本作は竜騎士さんが直接原案書いてるらしく、かなりストレートな『ひぐらし』になっているという評判だったので、期待して読んでみました。はい、これガチです。 メディアミックスでよくありそうな、「…

『BASTARD!!(26)』

「ゴールデンドロップ」という紅茶用語があります。人間を万力で締め上げて血を採取する時、限界まで搾りきった最後の最後でしたたる一滴のことをこう呼ぶそうですが(えー)、どうも萩原さんのこの作品もそういう境地を目指しているような気がします。 萩原さ…

『最後の性本能と水爆戦』

意味が理解できないにも関わらず、なにがしかの名状しがたい感情を喚起されずにはいられない、そういう作品を読めるのは嬉しいことです。それを必ずしも分析して明文化したいとは思わないんですけれど、現に喚起されるその感情を見過ごさず、なるべくそのま…

『リバーズ・エッジ』

私には感想が書けない類の作品。 こねこが死んだ時 大声を出して 吐くように泣いた あの時は超悲しかったけど きもちが良かった こういう、確かに感じてはいても惰性で見過ごしてしまうような感情を、ちゃんと拾い上げて表現し直せることがすごい、と思いま…

『新世紀エヴァンゲリオン(12)』

パパがちゃんと「父親」として振る舞ってる!(でも悪い顔) 復活したアスカの表情が妙な弱気さをたたえていていい感じ ラストの初号機の構図は「伸縮自在なエヴァ」設定の面目躍如 めくるめく「異本」的展開にヨダレが止まりませんね。つい数年前までの「貞本…

『屍鬼(8)』

奥さんにシカトされっぱなしの趙公明かわいそう 辰巳のあんちゃんにもキャラ食われてる趙公明かわいそう ラストのコマの先生の悪い笑顔がとても悪い(冗語) "化物に立ち向かうためには、自分自身もイレギュラーな化物ならねばならない"展開。これまで積み上げ…

『フラクション』

私がこれまで認識してた駕籠さんってこういう感じだったもので、いきなり大真面目にミステリー語りをはじめた本作にはたいそう面食らいました。それも「ちょっと興味が出てきたから描いてみた」なんてものではなく、十年来ミステリーを読み耽ってきた人が書…

『屍鬼(7)』

この物語の中でほぼはじめてといっていい「カタルシス」が、"あの二人の邂逅"という形で遂に描かれたなりましたねっと。今回もたらされた「希望」は、作品全体をとりまく絶望的状況の中では、本当にごく僅かなものにすぎません。でも、過去の6巻まではそれこ…

『Landreaall(4)』

圧倒的な"意味"の量 学園編開始。相変わらず、密度の高さに恐れ入ります。コマ数やセリフが多いわけでは決してないし、さらっと読もうと思えば平均的なジャンプコミックスなんかと同じくらいの時間で読むこともできるでしょう。でも、「全ての表現に意味があ…

この漫画をBLファンに独り占めさせるのは勿体ない! - ヤマシタトモコ『MO'SOME STING』

私もそろそろBL漫画読むでー……って思って入門的な心づもりでヤマシタさんの漫画を読み始めたわけですが、なんかもう入門がどうって話関係なしに、単純にこの人の漫画が凄く面白い。本作をファンだけに独り占めさせるのは惜しいので、拒否感を持たずみんなで…

『Landreaall(1)(2)(3)』

キリのいい3巻まで読了。 ページをぱらぱらめくっただけでは、こざっぱりとしていて感じの良い、でも本当に普通の漫画という印象。実際、あっさりした絵とストーリーは非常に読みやすくて、何も考えなければ軽く読み流せてしまう作品ではあるのです。 でも、…

『くいもの処 明楽』

おっさんBL漫画。BL? 三十代ノンケひげ面わんぱくおじ様が、二十代のムッツリな年下に攻められて「初めてのおとこの人とのセックス怖い」みたいな感じになってるのがたまらんちんな話。タイトルや舞台設定に反して食べ物の話はほとんどないんですが、表紙の…

清涼院流水/大塚英志の分割線 - 『探偵儀式(VI)』

完結。といっても、この漫画と対をなす流水さん本人の小説版が別に存在するようなので、最終的な評価はそちらも見てからと言うことになりそうですが。ほんまかいな。 最後まで、荒唐無稽な展開で突き抜けました。ただ、この作品にとって荒唐無稽は当たり前の…

『月光条例(7)』

『浦島太郎』 + 『フランダースの犬』。タイとヒラメがイケメンすぎ。「原作の気に入らないところに文句をつける」という、リスペクトもへったくれもない使い方が藤田さんらしいなと思いつつ、原作の持つテーマを度外視、というより歪曲して自説の披露に終始…

『月光条例(2)〜(6)』

月の光に打たれ、おとぎ話の登場人物が物語に逆らって暴れ出す童話異本物語。2巻から6巻まで一気に読んだので、感想も一気に書きます。 一話で完結する読み切り短編と、数話連続して描かれる中編ストーリーが交互に続く展開。読み切り短編では、アイデアや勢…