COMIC

『今日の早川さん(1)』

みんなが二巻で盛り上がってる時に一巻を読んでる私のアンテナ速度は遅すぎます。いえ、発売当初に買ってはいたんですけれど……。 ジャンル毎に極端な性格の人々が書き分けられています。ライトノベル読みの富士見さん以外は他ジャンルの人に対抗心燃やしまく…

『少女椿』

丸尾末広さん! 『新興宗教オモイデ教』とかの表紙の絵を描いてる人、くらいの知識しかなかったので、こんな濃い作品を描いてる人なんだと知ってびっくりしました。駕籠真太郎さんとか、なんかああいうエログロ漫画の源流的なものがここにあったりするのでし…

『よつばと!(7)』

「変わらない日々の繰り返し」に見えて、実は少しずつ不可逆に変化していく日常を描いたお話なんだなあと思います。よつばちゃんは前巻で三輪車を手に入れましたし、今巻では「はじめてのおつかい」に挑みました。こういった日常の中でのちょっとした変化を…

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が『涼宮ハルヒの憂鬱』の裏面に見えたりした話

凄いものを読んでしまったという感覚があります。原作は発売当初に読んでたんですけれど、あるいはそのときの衝撃を上回るものを感じてしまったかもしれません。漫画表現に原作を凌駕するものがあったのか、受け手の私の方が変化したのかは分かりませんけれ…

『喜劇駅前虐殺』

ポストに選ばれた人が全身ありとあらゆるところに手紙を突っ込まれまくる社会のあり様を描いた「駅前郵便」。自殺者が雨あられと降り注ぐ社会での天気予報のあり様を描いた「駅前予報」。などなど、奇想的な一話一テーマで血みどろ社会を描いていく短編集。…

『BASTARD!! (25) -暗黒の破壊神-』

今回の要約:ぶつかって砕けた「どひー嵐のような戦いと思いねえ」の一行でまとめられるような描写のために、ご本をまるまる一冊使い切ることに一切躊躇しないこの態度。にも関わらず、ひとコマひとコマの情報量は薄まるどころか限界まで高密度に圧縮されて…

フィクションに閉じ込められた少女たちにリアリティの救いはない話 - 沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』

[これはひどい]タグの嵐。初沙村さんがこれだったというのはいいんですか悪いんですか。 『GUNTHLINGER GIRL』なんか目じゃないぜっていうくらい、直球の少女残酷物語。「義体はなんで女の子だけなん?」とか、破綻がその程度で済んでいるガンスリが可愛く見…

『黒博物館スプリンガルド』

幕間の学芸員さんかわいい 外伝の女の子かわいい 初藤田和日郎さん。驚きました。登場するヒロイン格のキャラクターが、異様なまでに魅力的。何か特別なことをしているわけでなく、ただストレートに「かわいい」というだけなんですけれど、その単純的な表現…

『MOON(1) 昴 ソリチュードスタンディング』

MOONというタイトルが、バレエの美しさによって月面人と心を通じ合わせるという壮大なエンディングへの伏線であっても、もう私は驚きません。 プロダンサー編が始まるときは、新天地での新しい舞台を環境から登場人物からと丁寧に描写し直していましたけれど…

『怪談と踊ろう そしてあなたは階段で踊る』

むかし竜騎士さんがファウストに載っけた前後編小説のコミカライズ。おおむねで原作どおりの展開に見えたんですけれど、最後の方に挟まれたたった一コマがやたら下世話な興味を煽って大変です。富竹涙目。 気合い入れて描いた画とそうでない画の落差が激しい…

『GOTH』

ごすと言えば今ではごっすんごっすん五寸釘ですけど、かつては乙一という作家がミステリー大賞を受賞した妖怪大戦争小説のことをを指したのですよという老人のたわ言は本当ですかコミカライズ。大岩ケンヂさんの漫画は初めてですけど、やっぱりいい絵を描き…

『虹ヶ原 ホログラフ』

初いにおさん。テロリストがドンパチやるガンスリやら、マッチョの権化みたいな北方水滸伝やらの直後に読む作品としては、ちょっと食い合わせが悪かった気もしますが。 人に感想を尋ねたら、閉塞感という言葉が出てきました。傍から見ていると、逃げようとす…

『GUNSLINGER GIRL(9)』

前巻前々巻で作品の雰囲気がややポジティブな方向に傾いたのを揺り戻すかのように、「いくら希望があるかのように振る舞っても、義体という業は厳然と存在するのだ」と事実を突きつけてくる第九巻。 今回、義体の研究結果が社会に貢献しているという実例が示…

『GUNSLINGER GIRL(8)』

もうサンドロペトラペア出ずっぱりで一期生ファン涙目の今日この頃いかがお過ごし帝国の逆襲。 普通に恋愛をしているように見えます。でもペトラさんがサンドロさんを守ろうと激昂するシーンでは黒のモノローグフキダシで条件付けがしっかり発動してるように…

『GUNSLINGER GIRL(7)』

徐々にペトラさんと一期生たちの関係が描かれるように。しばらく彼女中心のお話が続いたので、ひさしぶりに他の義体が登場すると絵柄が変化していることがよく分かりますね。 ペトラさんを見てると、条件付けがPTSDのフラッシュバックとか風邪ひいて頭いたい…

『GUNSLINGER GIRL(6)』

かわいそうな女の子がまたひとり誕生したでござるの巻。 ……というような表現をして言いものか、ちょっと判断に困ります。だって、少なくとも義体の女の子たちは、自分たちは義体だからかわいそう、なんて風には思っていないはずだからです。 公社の人間でも…

『GUNSLINGER GIRL(5)』

いわゆる「ピノッキオ」編? の終わり。もともと善も悪もないようなお話でしたけど、この巻でテロリスト側の事情が本格的に描かれて、両者が完全に相対化されてしまった感じです。 戦いを描いたお話であれば、その戦いを最後まで描き切ることでお話を終わら…

『GUNSLINGER GIRL(4)』

「マリアの人間造詣に問題がある! ナポリファンがユーベのユニを部屋にかざったりしてるわけがない!」ってサッカーファンの人が言ってました。よくわかりません。 この作品を読んでいると、遠藤浩輝さんの『EDEN』を思い出してしまいます。別に本作と『EDE…

『GUNSLINGER GIRL(3)』

やっぱりこのシリーズ、「未来や希望を持った女の子が無残に殺されていく」姿を見ることで読者の嗜虐心をくすぐるタイプの作品とは少し違うなと思いました。もし本作がそういう作風なら、「ピノッキオ」のエピソードのあの子は間違いなく殺されちゃっていた…

『GUNSLINGER GIRL(2)』

女の子が酷い目に遭う作品は数あれど、その状況に対して女の子が幸福を感じているというのは希有なものです。行動をもって反意を示す、精神的な鬱屈を抱えつつも黙々と従う、諦観によって現状を受け入れる、などの程度の差こそあるでしょうけど、そこには何…

『GUNSLINGER GIRL(1)』

はい、読みましたよ! また不用意なことを書いて村の怖い人たちからぼっこぼこにされるフラグON! とりあえず一巻を読んでみたところ、前評判どおり非常に気分の悪いお話で安心感すら湧いてきました。こんなのがあと八冊もでてるのかと思うとうんざりします…

『ねくろまねすく(1)』

リビングデッドとマッドサイエンティストたちによる、「あっちの世界」の日常漫画。少なくとものこの一巻の時点ではストーリー漫画と呼べるほどの展開はありません。 主人公たちはねぐらのアパートでどったんばったんとラブコメやったり、社会の日陰者として…

『HELLSING(9)』

らき☆すたダンスを踊る大尉の腰の動き自重 ウォルター様ハァハァハァハァハァハァハァハァ うわあやっぱりあんちゃんはサイコーだあー! 少佐がかっこいい……! セラスさんの石破ラブラブ天驚拳に期待 前巻のあたりから、化物VS人間、という構図がひどく前面に押し出されてき…

『昴(11)』

なんかふかわりょうみたいな人が。がが。 今回、すばるさんがバレエを踊るエピソードはほとんどありません。でも彼女がこれから歩む鮮烈な一生を示唆しているという意味では、これまでで最も凄絶な巻だったと思います。 バレエを極めることと引き換えに作者…

『昴(10)』

ぞ〜ん(佐野史郎) 真奈さん再び。すっかりヤムチャ。彼女がすばるさんの一挙一動に驚いたり解説加えたりしてくれてるのを見ると安心しますね! 相変わらず足引っ張りたいんだか応援したいんだか分からない(でも結局最終的には応援してる)言動が微笑ましいで…

『昴(9)』

そして遂に明かされるすばるさんの性癖……! (ちがいます) すばるさんは不安定な主人公でした。気まぐれなその言動は読者にはなかなか予測不可能で、ともすれば一貫性がないようにも思えるものです。 「何らかの理由で言動の不整合が起こりやすいキャラクター…

『昴(8)』

八巻にして遂に……と言うべきなのでしょうか。ようやくにして、主人公すばるさんが「自分以上の才能」によって蹂躙される時がやってきました。 ここまで実に八十数話、第二部も半ばとなったこのタイミングで、やっと"ライバルらしいライバル"の登場です。すば…

舞台の上で幸せそうに踊ることがどんだけの囚人を無気力にしているか考えろ - 曽田正人『昴(7)』

タイトル通り。ぎゃー。一生外に出られないような囚人もいる刑務所での慰安公演という特殊な状況なのでテーマを目立たせやすかったですけれど、実はどんなところにも普遍的に存在することなのかもしれません。 こいつ……試合中に成長してやがる! 的展開が続…

『昴(6)』

開始早々、ニューヨークでひったくられていきなり無一文! 栄光の内に終わった第一部の「高みにいる」感をリセットし、もう一度最底辺からスタートするんだということを印象付けるいい演出だったと思います。 そういうわけで雰囲気はがらりと変わり、ストリ…

『昴(5)』

一冊短すぎ。集中力のない私はご本を読んでるときもしょっちゅう「あと何ページくらい残ってるのかな」とか確認してしまうんですけれど、本書ではそれが一度もありませんでした。気が付いたら最後のページになってしまったという、まさに一気読み。そのくら…