『ラブ&ポップ』

ラブ&ポップ―トパーズ〈2〉 (幻冬舎文庫)
12万8千円のインペリアル・トパーズを買うために援助交際を決意した女子高生・吉井裕美の一日を描き、新しい世代からから爆発的な共感を得た衝撃作……らしいのですが。
ううー……。
えっと、私が田舎育ちということが原因なのだと思いますが、ちょっと共感できませんでした。主人公を含め援助交際をする女の子たちの思考がまるで宇宙人のそれみたいで、まったくリアリティを見出せません。都市部に住んでいて自分や友達がわりと普通に援助交際を考えていたりする人なら実際に共感をもてるのかもしれませんが、そういうことのあまりない郊外に住んでいる人にはピンと来ない内容なのではないかと思います。
世間ではまるで日本中の女の子が援助交際と近い位置にいるようなことが言われているようです。しかし実際のところはそんなものTVの中のことだけと認識している地方の女の子も沢山いる、というかそれが今でも過半数なのだと思います。桜庭一樹さんの『推定少女』ではやや田舎育ちの女の子の心情が本当にリアルに描かれていましたが、村上さんの書く女の子と桜庭さんの書くそれとでは、根本的に別のものが対象にされているのでしょう。