『ひぐらしのなく頃に解 目明し編』

思わず変な声が洩れそうになるのを我慢しながらクリア。やっぱり十時間かかりますね。六時間程度でクリアしてしまう人が多いようですけど、きっと私の読むのが遅いんでしょう。

一編に半年かけているとはいえ、このクオリティのお話を五編も連続で出し続けるなんて本当にすごいことです。本作の後半四分の一の展開、あんなものが最後まで破綻なく書ききられ、なおかつプレイヤーにちゃんと読ませられるものに仕上がったということの何と壮絶なこと。これを書いてる人の当時の精神状態を思うと、空恐ろしいです。

それに、信じられないことに圭一さんが格好いい。KOOLがCOOLになってます。あれ? 解決編第一弾としても申し分ないつくり。明かすべきところはちゃんと明かして、でも全体の真相はまだはかり知れないという圧倒的バランスです。

このお話は、そろそろホラーの段階は終わりに近づいていますね。本作で喚起される感情は恐怖よりむしろ悲痛です。『鬼隠し編』ではあの理解し難い不条理さがプレイヤーの恐怖を煽り立てたわけですけど、解決編ともなるとお話にもかなり整合性が見えてきて不条理な部分は薄れていきます。ホラーという言い方は作品のジャンルじゃなくて、その中の一部のシーンに対して与えられる名前だと思います。

たとえば鬱小説というのがあるそうですけど、それはラストが馬鹿馬鹿しいくらいのハッピーエンドでもそこに至るまでの道筋が鬱展開なら十分に鬱小説たりえます。同じように、ホラーゲームだって最初から最後までホラーである必要はありません。特にひぐらしは「事件の真相を看破する」ことが前提で目的なので、不条理が解きほぐされるにつれてホラーとしての要素がなくなるのは必然ですし、もちろんそれで『鬼隠し編』や『綿流し編』のホラーとしての価値が下がることはありません。

ええと、とにかくこれで、しばらくの間は何の遠慮もなくひぐらしの関連ページを回ることが出来ます。ネタばれに怯える日々は今日で終わり……。