『夕凪の街 桜の国』こうの史代

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
ああー、なるほど。
とても多くの場所で言及され、なおかつそのほとんどが絶賛であること。そのわりには具体的な感想や分析は少ないこと。読んでみればたしかに納得です。それは「いいから読め、とにかく読め」とも言いたくなりますね。安易に言葉にすることを憚らせてしまう力のある作品です。というわけで多くは書きません。
不正確で変な言い方になりますけど、この漫画はもしかしたら狭い意味での「反戦」ですらないかもしれません。すくなくとも、道路を埋め尽くす熱狂的な反戦デモなどで、旗印として掲げられたりすることは良しとしない作品なのではないでしょうか。強く押しつけるようなやり方ではなく、「そういうことがあった」「そういうことが起きている」という事実を静かに淡々と伝えているような気がします。