『S-Fマガジン07月号』

S-Fマガジン 2005年 07月号
いくつかつまみ読み。

『遊星からのカチョーフウゲツ』桜坂洋

「セカイ」と「セカイ」を衝突させる実験。業界全体の傾向を語るならともかく、作品単体について評価するときに「セカイ系」みたいなカテゴライズにこだわるのは基本的にあんまり本質的じゃないと思うんですけど、作者自身がそのカテゴライズを意識して作っている場合はまた話が変わります。ともかく、これからはチェンソーとハンマーはワンセットということで。
ご本人が何度も繰り返し言っている通り、桜坂さんは作中で人が死ぬ(というか殺す)ことに対してすごく真剣に向き合ってますよね。『よくわかる現代魔法』のあとがきでも、いくら相手が悪人だからって人を何十人も殺しといて正義の味方ってどうなのよ、みたいなことを言ってます。これってキャラクターが敵を殺すかどうかで葛藤したりするのとはちょっと質が違って、桜坂さんにとっての倫理意識、というかけじめの問題なんだと思います。

『野天の人』平山瑞穂

平山さんの作品は初読み。なにこれ。気持ち悪うい。心地よい気持ち悪さとでも言えばいいんでしょうか。なにそれ。気持ち悪さのベクトルが微妙に小林泰三さんと同じ方を向いていたような気がなんとなくしました。じゃあこの心地よさは何なんですかっていう。むー。
ところで野天人って『AIR』でいうところの翼人ですか。違いますか。違いますね。間違えましたもういいです。

『宇宙色のブーケ』西島大介

相変わらずきれいなお話。西島さんの作品は長編より短編の方が分かりやすいですね。短編にはオチがあるけれど、長編には目に見えて分かるオチがありません。