『ネコソギラジカル(中) 赤き制裁vs.橙なる種』西尾維新

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)
「もふもふ」の効果音で食べるのはシュークリームじゃなくてジャムパンのはずです! 頭良くなりたいです!
というわけでネコソぎました。さすがと言うかなんと言うか。上巻であれだけ少年漫画少年漫画言われてましたけど、やはりただのそれだけでは終わってくれそうにありません。たしかにある面では少年漫画の魅せ方に倣ったりはしてるんですけど、決してそれ一辺倒というわけでもなく。というかこの中巻に至っては、こんな少年漫画があってたまらないという感じがそこかしこに。上中下の真ん中ということで上巻ほどの勢いはありませんけど、「中だるみも計算の内」とでも言わんばかりのこの展開はどうですか。
上巻の時も同じことを書きましたけど、西尾さんの書く登場人物が「記号だけ」の存在だとは、やっぱりどうしても思えません。記号をこれでもかと詰め込むことと実体のあるキャラクターを描くことは決して背反じゃないと思うんですけど、記号的だからという理由で一足飛びにキャラクターに内面がないことにされてしまっている気がします。たとえば清涼院流水さんの書くキャラクターなんかは本当に表面に記号がついてるだけで、中身が空っぽです。そういう意味で、西尾さんの書くキャラクターは御大のような「記号だけ」のキャラクターとはまったくの対極に位置していると言えるんじゃないでしょうか。言えませんか。
上巻と同じく「これ一冊では判断を下せない」、次なる下巻に繋げていくためのお話であったと思うので、とりあえずこれから数ヶ月の間はまた渇きの期間ですね。JOJOのような人間賛歌とまでは行かなくても人間を肯定する方向に持っていくのか、結局は世界を否定してこれまでの感動の全てを茶番としてしまうのか、そういった分かりやすい結末とはまったく別の次元に着地するのか、いずれにしても次でお終いの『青色サヴァン戯言遣い』です。

追記

ていうか古槍頭巾さんが素敵過ぎますよ! 今回イチオシの和みキャラですよ!