『迷宮百年の睡魔』森博嗣

迷宮百年の睡魔 (新潮文庫)
読み終えた瞬間に思わず吐息。良い小説って、読んでる間に知らず知らず息を詰めてしまいます。
そして二人だけになった』といいこの『百年』シリーズといい、新潮文庫から出てるこの人の作品は、ポエム・哲学方面の森さんがディープに出てますね。彼の生命倫理観には結構反発がありそうだと思ったんですけど、はてな内で感想を見て回った限りそういう意見はゼロで意外。反論しようにもそれこそ生理的な好き嫌いくらいでしか文句をつける隙がないので、皆さんあえて黙っているという気もします。でもそう思う私の感覚が古いだけかもしれません。とにかく主張があまりにも正論で、感覚的な抵抗はあっても理性的には納得せざるを得ない気にさせられてしまうのです。
綿矢りささんがこの作品の非現実感を誉めてましたけど、ということはこれにリアリティーを感じてしまった私は現実と虚構の区別のつかない14歳という自覚でいいですか。だって隣で爆弾岩がごろごろしてたりホブゴブリンがホブゴブホブゴブ言ってる日常に生きてるんですもの。