『狂乱家族日記 壱さつめ』日日日

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)
ライトノベル。らー、いー、とー。のー、べー、るー。何なんでしょうか、もうその一言で説明するのがいちばん合う気がします。この手の「ギャグを書くためにストーリーや他の全てがあるライトノベル」ってよく考えたらほとんど読んだことがないのでいい加減な感想になっちゃいますけど、かなり良く出来ていると思いますよ。はい。これだけ読むと、ちーちゃんみたいな自虐モラトリアムな世界を書いた人とはとても思えません。
シリアスとギャグのバランスはちょっと微妙。シリアス部分の悲劇性がご都合主義やドタバタで解決できる重さを越えていいて、ハッピーエンドへ至る流れがどうにも安っぽくなってしまった印象があります。あと「擬似家族がお互いに打ち解けていく過程」がすっぽり抜けているという指摘が結構あるようで、たしかに違和感を感じる人は感じるかもしれません。自覚的にこういう風にしてるのならそれはそれでいいんですけど、その場合も読者に違和感をもたせないような工夫がひとつ必要だったかもです。
ところでこの人、メインの登場人物の名前で明らかに手を抜いてますよね。チョイ役に去渡去彦(さるわたりいぬひこ)とか不解宮(わからずのみや)なんていうハイセンスな名前をつける余力があるくせに、主人公やその家族となると凶華とか銀夏みたいなわりと安易なネーミングに落ち着けています。たしかに基本コメディなこの作品の場合は戯言シリーズみたいな凝った名前より単純でベタな名前の方が雰囲気に合うと思いますけど、そういうところまで自覚してやってるんだとしたら随分と器用ですねえ……。嫌味な子!