『ひぐらしのなく頃に 罪滅し編』07th Expansion
シリーズ中、もっとも評価の分かれそうな作品でした。あの手この手でキャラクターの立ち位置を変えて作られてきたこのシリーズですけど、今度はこう来たかと。微妙に二度ネタに思える部分もあったものの、お話が進むとその重複自体がちゃんと物語的に機能していることが分かります。今回はミステリー要素もホラー要素もなりをひそめているので、(なにせ「難易度ゼロ」) 純粋にお話として楽しめばよいかと思います。ええ、本当に、ここまで興奮することができた作品は (サガを除いて) これまで出会ったことがありません。比喩ではなく、実際の生理反応としてモニターの前で何度もいっぱいに目を見開きました。
今回は『喜劇』ということで、いろいろ反則的な試み(物語的にもミステリー的にも)がなされています。えー、それやっちゃうの、と驚くようなことも、わりとあっさり実行されちゃってました。この「何でもあり」は『罪滅ぼし編』に限ったことだと思うので、今回だけは何が起こっても笑って許すつもりでプレイするのがいいでしょう。(たとえば、登場人物のあとがき対談を認めるくらいの寛容さで)
出題編の謎のいくつかに解答が出されていますけど、これはネットを探せば見つけられるレベルの無難なものがほとんどでした。この点については、結局それか、物足りない、もう少し踏み込んでほしかったと思う人が相当数いるかもしれませんし、いわゆるミステリーファンが絶対に許せないようなオチもありました。でもまあ、ノックスの十戒みたいな自分たちの中だけで通用するルールを勝手に持ち出してきて非難するのも明らかにお門違いですし、「鬼隠し編のアレの中身は何だったのか」みたいな細部の現象にとらわれるよりも、「これはどういう性質の事件だったのか」という抽象的な部分に目を向けて欲しいというのは竜騎士07さんが再三強調していたことでもあります。この結論が無難に思えてしまうのはこれまでネット上で散々に議論し尽くされてきたからこそで、もしも「プレイヤー同士の積極的な推理交換」という特性がこの作品になかったら、この真相を無難だと思う人はそうそういなかったと思います。