『ニンギョウがニンギョウ』西尾維新

ニンギョウがニンギョウ (講談社ノベルス)
あー。ああー。なるほど、妙に大正昭和がかった装丁や文体だと思ったら、この手のお話でしたか。萌えなし*1ネタなし挿絵なし、かといって普段の西尾さんからアクロバティックな部分を削ぎ落としただけという風でもありません。読んだことはありませんけど、『ラスマンチャス通信』もこんな感じなのかもしれないとちょっと思いました。まあ根も葉もなくカテゴライズをすれば文学なんでしょうけど、この非現実感には小林泰三さんの『玩具修理者』をちょっと連想したり。あえてそっち系のお話として読んでみるのも、それはそれで面白いかもしれません。ようぐそうとほうとふ。
値段や装丁のことは置いておくとしても、普段の西尾さんの新刊のつもりで読むと、きっと面食らうでしょう。四編あるうちの三編は『メフィスト』にも掲載されたものなので、先にそっちをちょっと眺めてみてから買うかどうかを決めた方がいいかもしれません。

*1:「妹」という文字事自体に反応するような、漢字ドリルでも興奮できる人にとってはその限りではありませんけど。