『ブルースカイ』桜庭一樹

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)
きみは桜庭一樹のことが本当は嫌いなんじゃないのかな? みたいな。
ううー。もしかしたら、とても厄介な作家を好きになってしまったのかもと不安になってきました。気づくの遅いですか。『GOSICK』なんかを読んでる限りでは、とても素直な作家さんに見えるんですけどね。読了後、すごく名状しがたい感情に襲われたんですけど、それが何なのか自分でも分かりません。もしかしたら悲しかったのかも。衝撃の絶対値が大きすぎて、面白かったと言う言葉すら出てきません。*1
というわけで、少女尽くしの一冊。いろいろな所で言われている通り、少女という概念の時代性を利用して別時代の傍観者の視点から少女を語る試みです。でもそうなると、もしかしたら二十年後三十年後の読者は桜庭さんの描く"少女"を実感として理解できなくなるのかもしれませんね。そういえば久美沙織さんも「歴史小説に少女という言葉が出てくるのはおかしい」みたいなことを仰っていた覚えがあります。
桜庭さんの作品は『推定少女』以降のものしか読んだことがなかったので、SFも普通にいける人だったのだと知ってびっくり。最初にハヤカワでSFを書くと聞いたときは門外漢なのに大丈夫なのかなと不安になりましたけど、なるほど、これだけ書けるのならまったく余計な心配でした。オビや裏表紙の"箱庭"をどう解釈するかは、ちょっと意見が分かれそうなところですね。

追記

思いつき。G-SHOCKのHを90度回転させて傾け、並び替えたらGOSICKになりますけど、さすがに考えすぎですよね! (ハイフンはどこへ消えた)

*1:いえ、すごく面白かったんですけどね。読了直後の今ならここ数年で最高とうそぶけるくらいには。