『The SoulTaker〜魂狩〜』
再放送。『ぱにぽにだっしゅ!』や『月詠 -MOONPHASE-』の新房昭之さんが監督ということで、飛び飛びにですがこっそりと見てました。本当、この人の作るアニメはへんてこですね。
お話は基本的にシリアス一辺倒。新房さん特有のステンドグラスのような暗い色使い、BGMの流れないシーンの多用、カタストロフの後っぽい世界設定、おまけにぼそぼそ呟くようにしか喋らない登場人物が妙に多いので、作品の雰囲気はかなり静かでダウナーです。主人公にしても、母親に殺されそうになったとか自分は本当に人間なのだろうかとか、そういうことでわりとうじうじ悩んでる人ですし。
でもそうかと思えば、一人だけ明らかに場違いな萌えキャラがずっと主人公の側に常駐したり、オープニングテーマが影山ヒロノブさんの熱血ソングだったりと、一見作品の雰囲気にそぐわない要素がわりと平然と登場します。(そもそも主人公自体がバットマンのような変身ヒーローで、必殺技を撃つときは「ライトニングブレイカー!」とか叫ばないといけないのです) それなのに、作品全体として見るとこれらの要素がもともとのダウナーな雰囲気とちゃんと調和している不思議。
特に際立っていたのは最終話ひとつ前に登場した特撮っぽい美少女フリッカー戦隊で、これなんてどう見てもギャグでやってるとしか思えません。それなのに、登場人物はボケに対するツッコミ、またはそれに類する言動を一切とらず(つまり真顔)、そのうえ演出面でも美少女戦隊はギャグとして扱われません。結果として彼女達の存在はギャグとして存在し得なくなり、今まで通りのダウナーな流れの中に違和感なく飲み込まれていってしまうのです。まあ現象だけを捉えると「ギャグが滑っている」状況とも言えますけど、ええと、それはそれ……。