『CYNTHIA THE MISSION(2)』

CYNTHIA THE MISSION 2 (ZERO-SUM COMICS)
わ。わ。なんだか俄然面白くなってきましたよ。メインキャラクター一人づつのオムニバス形式だった一巻の時点では、良くも悪くもハッタリたっぷりの屁理屈バトルものでしたけど、キャラクター同士が絡むようになっていろいろ世界が広がった印象。登場人物と登場人物の関わり方がそれぞれ立っていて、とても面白いです。
短く断片的なシーンが飛び飛びに次々と切り替わっていき、しかもその核心的な部分がそれぞれの場面でちゃんと読者に伝わっているのはすごいと思います。こういう表現の方法は、テキスト量が極端に少ないのに妙に印象的なサガシリーズのそれと通じるところがありますね。
前巻では、自分もマフィアで人を殺しまくってるくせにスナッフビデオに激怒する主人公に違和感を感じましたけど、今巻ではそのあたりの違和感が納得できるかたちで上手く説明されていました。殺人の是非が云々ということに関しては高遠さんかなり考えているみたいで、中盤の天才子ちゃんとの戦いはまさにそこがひとつのテーマになっています。この天才子ちゃんの思考からは、森博嗣さんの作品の某殺人者のそれを連想しました。戯言シリーズ後期の運命論を髣髴とさせる乱暴な近似やアナロジーを駆使した空論ではありますけど、これはこれで面白いと思います。
細かいところでは、天才子ちゃんに理解を見せていたカウンセラーの先生の使われ方がいい感じでしたね。果苗さんに対する天道刑事のような存在になるのかと思ったら、数ページで即行アレ。たいそう面食らいました。あと吸引力強すぎます。