『伝奇集』

伝奇集 (岩波文庫)
えっと、つまり奇想の書? 読んでるこっちの想像力が追いつきません。いったい普段なに食べてたらこんな突拍子もないアイデをわんさか思いつくことができるのよとか、人間の限界突破なものを感じました。さすがはネクロノミコン読んで失明しただけはありますね。内容的に私のキャパシティ越えちゃってるっぽくて、単に読み進めるだけでひいこら言ってしまいましたよ。ここまで来ると普通の小説的意味での面白さを感じる余裕すらなくて、読後感は小説のそれよりも優れた学術書を読んだ後のそれに近かったです。ごちそうさまでした。
『トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス』は別宇宙の世界観を自然原理から風俗まで一から創造してしまったような作品。異世界が書きたい人は皆これを読んどくべきだ的アドバイスをもらっていたんですけど、まさに、まさに。『八岐の園』『死のコンパス』は最後のオチがとっても不意打ち。『結末』と『南部』は、読後感がなんとも言えない奇妙な味わいでした。