『熊の場所』

熊の場所 (講談社文庫)
ピコォーン。
あああ。例によって舞城さん。思うところは色々あるんですけれど、それを文章化できない自分の表現能が恨めしいです。他の作家さんならそこまでではないんですけど、舞城さんの作品の場合はこの成文化作業がすごく困難。まあ一言で表現できないからこそ、何万文字にも渡る小説が書かれているわけなんですけど。(常套句)
珍しく比較的前向き度低めのお話もあったりしてちょっと新鮮だったりもしましたけど、それでも中身はわりといつも通り舞城さん。表題作の熊の話とかバット男とか、ああいった訓話的なエピソードがが実に舞城さんらしいですね。『ピコーン!』のクライマックス、憎い***を前にした主人公が一体どうやってケリをつけるのかと思ったんですけど、まさかああいう選択があるとは。ミステリーとかセカイ系とか言ってる間は絶対に思いつけない、ものすごい発想だったと思います。あと裏表紙の「ナイスバディの苦学生であるわたしが恋人哲也のためにやったこと(『ピコーン!』)」という根も葉もないあらすじが妙に印象に残りましたです。