『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』

ネクラ少女は黒魔法で恋をする (MF文庫J)

ネクラを直したければまず外見に気を遣いなさいというお話。

小説そのものとしての出来映えは上手いというわけではない*1ので、「性格悪いネクラ人間の更正」というテーマに対して読者に何か思うところがあるかどうかが鍵になります。とりあえず学校で一人だけ孤立とかしてる人は読めばいいでしょう。

ただしこのお話はかなり理想化された世界で、「あとは本人さえその気になればいつでも更正可能」という状況にはじめからあります。その意味で枝葉のところはあまり現実に即していないんですけれど、一番重要な問題が真ん中にあるので問題はないと思います。

ところでこの作品は続編が出る予定だそうで、そうなるとかなり頑張らないといけない気がします。なにせいちばんのウリである「ネクラの更正」がこの一作でほとんど完成してしまってるわけですから。このテーマでこれ以上込み入った部分に手を出すにはかなりの力が要求されますし、引き継いで使えるキャラクターも現状とりわけ立っているわけではありません。まあこの作品の場合は大人の事情で無理矢理シリーズ化というわけでなく、作者さん自身がノリノリみたいなので、そういう意味ではまったく問題ないんですけど。

*1:演劇まる投げですし。