『七つの黒い夢』

七つの黒い夢 (新潮文庫)
変な組み合わせのアンソロジー短編集。
乙一さんと恩田陸さんは、オチもなくフッと終わるお話。ピンと来なければそのまま流れていってしまいそうではあります。北村さんは初読、淡々とした語りですけど、その中に不思議な面白さのある人ですね。誉田さんについては名前すら知らなかったんですけれど、いろんな意味で変なお話を書く人だなあと。天使さんの切り替わりが好きすぎます。いい感じにステキな青春ものでした。(えー) 西澤保彦さんのは終わり方があまりにも唐突過ぎて落丁かとすら思ったんですけど、これは意図的な演出だったんでしょうか。すごく妙な後味でした。桜坂さんのは再読、でもオチは忘れてました。「神様のPOS」とか、実に桜坂さんらしい言い回しだと思います。岩井さんも初読、よく分かんないけどアレなお話だということは分かりました。厳密な計算の下に書かれているのか、「考えるな感じるんだ」なお話なのか、岩井さんがこの作品を書く際に意図したことにちょっと興味があります。
他の人の感想を見て回ると、どの人の作品に対しても面白いつまらないの評価がぜんぜん異なっていて興味深かったです。読者それぞれの嗜好の差がすごくよく現れていたというか。同じ作品を指して傑作と言う人がいれば駄作という人もいて、やっぱり個体差って大きいんだなあと思いました。