『ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編』まとめ(再プレイ12)

いろいろ限界突破。これまでの五編では部分部分にしか焦点の当てられることのなかった雛見沢という舞台が、遂に俯瞰的な視点から描かれることになります。単一の視点からは決して把握できなかった雛見沢は、この新しい視点から捉え直すことでようやくひとつの姿を現します。さながら群像劇のように数々の人物・集団がそれぞれの目的のために動き出し、けれどその渦の中心は常に一点。一気に視点の開けるこの感覚は、まさにカタルシスと呼ぶに相応しいものです。
本作はひぐらしにとっての転換期と言っていい作品でした。これまで隠されていたテーマ性*1が一気に全面に押し出されたことがまずひとつ。どう扱われるか微妙だった推理小説のお約束があっさりと破られたのも本作で、竜騎士07さんの姿勢がようやく見えてきたとも言えます。はっきりとした方向性を打ち出すことは、その方向性が肌に合わない人の反感を買うことでもあります。そういう意味で、本作の公開と同時にこれまでにない毀誉褒貶が噴出したのは必然だったとも言えるでしょう。
 慣れた人はできるだけ反感を抑えるため色々と気を遣えるんでしょうけれど、竜騎士さんはそういった配慮が行き届いてない印象があります。(急にあからさまにメタな記述が前面に出てきたり) こういった細やかな、作品自体の質や瑕疵というよりも受容者の側がそれぞれで引っ掛かりを感じるようなポイント*2が、ひぐらしには多いなと感じます。この辺が、チェックしてくれるプロの目があるかないかの差なのかなあと思いました。

*1:それ自体がネタばれなので凄く書きにくいですけど。

*2:……の使い方や「〜。」といった文章作法などのつまらない(でも気になる)ものから、昭和58年という設定なのに登場人物があからさまに平成十年代のオタク事情に言及するネタなど。