『ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編』(再プレイ13)

綿流し祭当夜まで。
まさに「解」。タイトル発表の時点では、「解」とは「過去に起きた出来事の真相」を指していると誰もが考えていたでしょう。ところが更に編が進むにつれて、どうもそれだけではないらしいというのが分かってきます。ここで示される「解」の意味とは、「惨劇を回避するにはどう行動すればよいか」ということです。「皆殺し編」の前半の展開は過去の編で主人公たちのとってきた様々な行動に対する明確な「解」となっていて、「あの事件の真相はこうでした」と単純な事実を示す後半に負けないくらい重要なものとして描かれています。実際、本作で前者に割かれているテキストの量は後者の倍近くにもなるのです。

ひぐらしは少なからずの社会性を扱ったお話でしたけれど、ここに来て遂にその面が本題に回ってきます。これまでは神秘的な、あるいは不気味な「異境」として一種ファンタジックに描かれてきた雛見沢という舞台も、本編では「地域社会」という地に足のついた視点から再解釈されることになります。それに応じたて展開されることとなった今回のお話は、これまでの虚構的な展開を望むプレイヤーにとっては面食らうものであったかもしれません。これは前作で初めて明らかになったシリーズのテーマが更に強く前面に押し出された結果とも言えます。

テーマ性が強くなると、お話の展開も当然そのテーマを肯定する流れになります。ここで下手をすると「恣意的だ」とか「ご都合主義だ」という種の批判を受けることになるわけですけれど、本作もそこを完全に捌ききれてはいない印象があります。「そういうテーマの作品なんだから」と納得する一方で、「話が出来過ぎている気が」という違和感もあります。後半のインパクトが強すぎたせいかこの視点からの批判はあまり見たことがないんですけど、実のところどう思われてるのか少し興味のあるところです。