『最終兵器彼女外伝集 世界の果てには君と二人で』

最終兵器彼女外伝集―世界の果てには君と二人で (ビッグコミックススペシャル)
高橋さんの作品を読むのはものすごく久しぶり。最後に載っている『スター★チャイルド』は比較的最近書かれたものだと思うんですけれど、『最終兵器彼女』の頃から雰囲気は変わってませんね。

四作の中で未読だったのは『スター★チャイルド』だけだったんですけれど、長年のあいだ完全に閉じていると思っていた『最終兵器彼女』の世界に少しだけ風穴が開いていたことを知れて、ちょっと感慨深いものがありました。

最終兵器彼女』以来の高橋さんは、どの作品でも「戦争」というひどく社会的な問題を意識していると思うんですけれど、にも関わらず彼の作品が「セカイ系」の代表として語られている事実は興味深いです。これは高橋さんの描いている「戦争」が必ずしも地に足のついた現実的なものではなく、ある胎児の一生の擬人化と同じようなファンタジーの部類に属するものだからなのでしょう。

そこにあるのは「戦争」という現実を冷静に見つめどこに問題があるのかを考えるような姿勢ではなく、初めから前提としてある「戦争とは酷いものだ」という主張をいかに深く読者の心に届けるかという姿勢です。どちらの姿勢が正しいのか、という問題ではなくて、これも程度問題なのでしょう。両者の違いを作り手と受け手の双方が自覚しておくのは、必要なことなのだと思いますけれど。