『ヨイコノミライ(4)』
創作と批評を志す全ての人へ。という感じです。
いえ本当に絶対読んだ方がいいですって。佐藤友哉さんの「1000の小説とバックベアード」が創作の「虚」の部分を書いているなら、この作品は「実」の部分を書いています。あるいは、佐藤さんのが持てる者の視点、本作が持たざる者の視点という面もあるのかもしれません。
以下、長いですけど作中のズッキュゥゥゥンな台詞。既読の人向け。未読の人は買って読んでください。
「エラそうに、今度は何を教えてくださるつもり? どうして自分の話しか出来ないの? もうどうせ最後だから言うわ。 あなたが簡単に他人を蔑むのは賢いからじゃない。 他人を理解しようともしない、馬鹿だからよ。 気楽なもんね。自称批評家さん。 批評っていうのは感想文でも、作者への意見書でもないわよ。 人が作ったものを安易にくさして優越感にひたるヤツのために、皆は必死で描いてるんじゃないわよ。 一読者より昇格してるって言うなら、作品にもっと真剣に取り組みなさい。 誠意? 自己顕示欲でしょ? アナタの! 誠意があるんなら、セリフの向こうの作者探しや他の作品とのくらべっこばかりしてないで、内容そのものに興味を持ったら? 貧弱な読解能力でも少しは使って見せなさいよ! 誤解しないでね。私、本当の批評家は大好きよ。作品への新しい読み方を提示して、作品と作家と読者に、新しい道を拓いてくれるから。 あら。 無責任な感想文に、無責任な感想を言わせてもらっただけよ。 悪く思わないでね。さよなら」
11/28追記
ああ、これは別に「感想文ダメー」という主張ではないですよ。自分の主観に依る「感想」でしかない意見を、あたかも「客観的な批評」であるかのごとく声高に主張することに対する批判です。「ある作品が自分の趣味に合わなかった」→「この作品を面白がってる奴は馬鹿」みたいな短絡的な意見の押し付けを責めているのであって、思ったままに「面白かったー」と感想を言うような場合について述べてるわけではないので悪しからず。