『火目の巫女』

火目の巫女 (電撃文庫)

都に居ながらにして射程距離無限の火矢を放ち、全国に出没する魔物を討伐するという任を負った「火目」。その火目の候補として修行の日々を送る、三人の娘にまつわる伝奇物語。

弓を扱ったスポ根と見せかけて、終盤に差し掛かったところでいい感じの急展開を見せてくれました。いろんな意味で両端に位置する桂乃さんと常和さん、そしてその二人の間でふらふら揺れ動く主人公ーというヒロイン配置は、クライマックスで絶妙に利いてきます。天地人という感じ。

火目の設定が舞台装置としてたいへん魅力的。時代ものファンタジーに無限射程攻撃を持ち込む発想もなかなか凄いんですけれど、読み進んめていく内に火目という「システム」自体の面白さが見えてきます。

この「火目システム」は「雛見沢」とか「デスノート」みたいなもので、同じ舞台上であっても初期配置次第で様々な物語を生成する可能性を持っています。続編では登場人物が総換えされるようですし、ここからサーガっぽいシリーズになることをほんのり期待。