『つぶらら』- 新ジャンル・クールボケ

つぶらら (1) (アクションコミックス)

一見するとクールビューティーな鈴置つぶらさん、実は美少女アイドルグループ「キャラメル☆エンジェル」の隠れ大ファン。キャラ☆エンの出演番組を見ることだけを日々の楽しみとしていたのに、家のTVを壊してしまって大変なことに。周囲から愉快な誤解を受けつつも、キャラ☆エンのために奮闘するつぶらさんのがんばり物語。

これまでちんまりした女の子ばかり描いてきた山名さんにしては珍しい八頭身主人公、とはいえ頭の中はこれまでの山名さんのヒロインに負けず劣らずメルヘンです。『あずまんが大王』の榊さんとよく似た立ち位置のキャラクターですけれど、主観をメインに描写しているため魅力が一層に引き立てられています。

展示品のTV目当てで電気屋さんに毎日のように押しかけたり、新しいTVを買おうと早起きしてアルバイトに精を出したり、愛するキャラ☆エンのためならつぶらさんはどこまでも頑張ります。モニターの前でキャラ☆エンの映像を眺めては、思わず頬を緩めてにへらにへらしてしまう彼女のこの可愛さは異常。過去の山名さん作品でも一、二を争う魅力でした。

妙にノリのいいクラスメイトや、お袋さん理論でさりげなく彼女を鼓舞するお母さんなど、周囲の人々もつぶらさんを巧みに盛り立てる形でいい味を出してます。それにしても、体育祭の前日に雨乞いの儀式を踊る弟さんは酷いと思いました。