『ひぐらしのなく頃に礼 賽殺し編』

やー凄かったです! ファンディスクの短編一本目。全八作として完結した本編の後日談を語りつつ、本編中で十分に納得のいかなかったいくつかの要素が補完されています。

オマケシナリオとは思えないほど大真面目で直球なお話でした。テーマ的な密度とシビアさは他の長編にも負けないほどでしょう。ていうか一度完結した物語にここまで危ういちゃぶ台返しをやるとは思いませんでした。ああ怖い怖い。どうなることかと思いました。

ラストにややぼかされ気味な部分があって、ここは*だともそうでないとも受け取れます。ただ、問題の部分をよく読んでみると、三つ目の可能性を示唆するような表現があるんですよね(《ネタばれ注意》に注目)。明言されてるわけではないので「深い意味はないです」と言われたらそれまでなんですけれど、問題の箇所が意味深で重要なシーンであるだけに、何かありそうな気はします。

竜騎士07さんの悪い癖というか、お疲れ様会では作品のテーマについて語りすぎな感がありますね。「作家は作中以外で主張をするな」とは思いません。表現という最終目的にプラスとなるのなら、、自作語りでも何でもあらゆる手を尽くすべきだとすら思います。ただしその行為が読者の興を醒ましてしまうのなら、意図した表現が伝わらなくなるという意味でも本末転倒でしょう。(・3・)<空気投げー

あまりにテーマが重くなってしまったので「蛇足になってしまわないか」「本編の後味を悪くするだけなのでは」という不安がずっとありましたけど、最後まで読んでみるとちゃんと"補完"になっていました。「祭囃し編」ではしっくりこなかった部分が、このシナリオで氷解したという人も多いのではないでしょうか。もちろん完全に納得のいく解決が提示されたとも思いませんけど、本編で語り足りなかった部分を補う作品として意義のある番外編だったと思います。