『GOSICK VI 仮面舞踏会の夜』

GOSICK〈6〉ゴシック・仮面舞踏会の夜 (富士見ミステリー文庫)

ドリルー。ドリルー。(通常の二倍) 昨日の投票と前後しましたけどこれも読みました。

時間的には前巻の直後ですが、お話としては単体のもの。夜汽車のコンパートメントで同席した行きずりの六人の中で殺人事件が発生。中盤は一人一人から事情聴取をしていく展開に。汽車が暴走したりもしますが、これはまあちょっとした余興程度の要素。

推理ものとしては例によってお約束な展開。でも、真相を知ることで作中の様々な謎の断片が再構成され、整然とした壮大な一枚絵が現れてくる構図は見事。推理云々を抜きにした「謎そのものの構造」の美しさもミステリーの醍醐味とみなせるのなら、このシリーズはやはり良質なミステリーなのだと思います。

今回はテーマのひとつに「大人と子供の問題」が据えられていて、桜庭さんがこの話題を持ち出すのも久しぶりだなあと思いました。(桜庭さんのハードカバー作品は読んでないので、実はそうでもないのかも) 第二次世界大戦の嵐の予感を漂わせつつのラストは、けれどとても綺麗な終わり方でした。「この先の辛い現実を想像するよりも、ここで終わってしまった方が幸せなのかもー」とか考えてしまったり。

そして今回はドリル警部が大活躍。いつも以上にサービスしまくりでした。ドリルが揺れる! 突き刺す! そして燃える! なぜか主役の二人以上にこの人が好きになってきました。おっつかれーしょん。