『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』

鼻行類 (平凡社ライブラリー)

たまにはこういうのも。離れ島で独自の生態系を確立しながらも、文明の影響で発見からわずか二十年のうちに滅んでしまった「鼻行類」に関する、現存する数少ない資料書です。

離れ島で独自の進化を……というとオーストラリアの有袋類*1が代表的ですけど、この鼻行類も実に多様で興味深い形態を見せてくれます。彼らに共通する特徴は、一様に鼻が非常に発達していること。その多くは四肢ではなく鼻で身体を支えています。彼らは名前の通り鼻で歩いたり鼻で跳ねたり、あるいは鼻であんなことやこんなことをしたりするのです。

鼻で立つということで、多くの鼻行類は逆立ちみたいな格好をしています。後ろ足はあまり用途がないので退化していることも多く、その姿は地球上の他のどんな哺乳類にも似ていません。とにかく印象的で、しかもどこかコミカル。和名も「ハナアルキ」ですし、「ナゾベーム」なんて冗談みたいな名前が付いてる種もあります。ほとんどかいじゅー。

実際に動いてる姿が見られればさぞや愉快だったことだろうと思いますけど、彼らは1957年ごろ、核実験の影響で生息地のハイアイアイ群島もろとも海の底に沈んでしまったそうです。マダガスカル島西表島もびっくりの希少生物の宝庫だっただけに、残念でなりません。


ひとつだけ幸いだったのは、偶然にもとある飛来神によって相当数の鼻行類パンゲオン世界系に移住させられ、滅亡を免れていたことです。移住後もなかなか新環境に対応できず苦労していたようですが、博物神ラヴァエヤナの保護を得た後は無事に生態系への仲間入りを果たすことができたようです。四本の鼻で歩くナゾベームの光景も、現地ではすっかりお馴染みになったそうです。よかったですね。(は)いあいあ(い)!

*1:あれも大昔は世界中にいたらしいですけどね