『されど罪人は竜と踊るIII 災厄の一日』

災厄の一日―されど罪人は竜と踊る〈3〉 (角川スニーカー文庫)

短編集。前巻の予告どおり、萌えキャラがたくさん登場して酷い目に遭いまくります。(えー)

扱われてるテーマは例によってややこしいもので、問題提起はすれども解決策は示せないといういつもの按配。まあこういう社会問題に簡単な解決策を示せたとしたらそれは嘘かせいぜい特殊解なので、投げっぱなしになってしまうのはこの手の作品の宿命なのかもしれません。

「翅の残照」

  • 酷い目に遭う萌えキャラ:組織に追われるドロップアウトヤクザの恋人娼婦
  • テーマ:裏社会のどん詰まり

短編だから軽めの日常話が描かれてるんだろう的な期待を初っ端から打ち砕いて殺伐殺伐。

「道化の予言」

  • 酷い目に遭う萌えキャラ:突発リアル人狼ゲームに巻き込まれたお姉さん
  • テーマ:種族差別

人狼ゲームと言いつつ「推理小説のような論理パズルは現実に適応できない」とゲーム的推理法をバッサリ斬ってしまうミもフタもない探偵術ステッキー。

「黒衣の福音」

何もできない中二病患者がそれでも何かをしようと頑張るとさらに救いようのない事態に発展してしまうという絶望でどうしろと!

「禁じられた数字」

  • 酷い目に遭う萌えキャラ:レギュラー女性ほぼ全部
  • テーマ:人々の憎しみの連鎖には際限などなきことよの

何も生まないと分かっていながら潰し合わずにはおれない壮絶すぎる人間の業。人間って醜いですのだ。イーギーさん一人勝ち。一見生意気のくせして実はこの子がいちばんの萌えキャラでは。(周りの連中が酷すぎる)

「始まりのはばたき」

  • 酷い目に遭う萌えキャラ:朴念仁に振り回されるお姉さん&人格破綻上司どもに振り回される***
  • テーマ:50人生かすため49人殺す鬼畜為政

十二翼将の命がいくつあっても足りない日常と為政者の命をいくつ使っても足りないお仕事風景。たまには心温まる話題も欲しいものです。ないですかそうですか。一巻で活躍した忍びのキュラソーさんがえらいことになってましてねアチョー。