『六識転想アタラクシア』

六識転想アタラクシア (F×COMICS)

 解脱しては精神世界に飛び、現実で晴らせぬ欲求を満たしては現実に干渉するサイコダイバーもの。と、設定だけ見れば正真正銘のSFなのに、全然そうは見えません。

 普通ならSF用語が入るべきところに、何故か仏教用語がてんこもり。究竟涅槃に色即是空。そこに更にいじめだカルトだ多足虫だ排便だエロだグロだ何だかんだとわけの分からない要素が加わって、もう完全にノージャンル独立独走という感じの雰囲気になってます。似てる作品を探すことが一苦労。

 過剰なシリアスは時にギャグと見分けがつかなくなりますけれど、駕籠さんやあと山本直樹さん、大槻ケンヂさんあたりは、その辺わかってわざとギャグにしてしまう作家さんですね。初期作品集と比べると、本作も扱っているテーマ自体はほとんど同じままであるのにも関わらず、随分とギャグっぽい印象になっていたのが面白かったです。