『よつばと!(6)』を「変わらない日常」と見るのは大人の視点だと思った話

よつばと! (6) (電撃コミックス)

 この作品を「変わらない日常」と評価するのは、多分に大人の視点からの物言いなのかもしれません。私たちから見れば穏やかで変化のない毎日であったとしても、よつばちゃんから見れば一日一日が波乱万丈な大事件と不可逆的なまでの変化の連続だからです。

 たとえばこの巻でよつばちゃんは「リサイクル」という新しい概念を知り、「自転車」という自分の世界を一気に広げるような青天の霹靂アイテムを入手します。あまりにはしゃぎ過ぎたせいでよつばちゃんは間もなく自転車禁止という厳しい「謹慎処分」を言い渡されますが、「本棚作りのお手伝い」という一大イベントを経ることで晴れて謹慎処分を解いてもらうことに成功します。

 こんな大冒険の連続の只中にあって、よつばちゃんがそれを「変わらない日常」と認識しているはずはありません。一巻のオビにだって「いつでも今日が、いちばん楽しい日」とありますし、その「特別さ」を見出す神話的なまでの視点こそが、この作品の中心なんだと思います。