『痴漢男』
一部で緩やかな盛り上がりを見せてるような気がするWeb漫画。VIP発祥の実話、あるいはそれに見せかけたフィクションが原作です。Web漫画とはいえ、その画力は確かなものだと思います。
仮にも「実話」の形態をとることで作者の恣意が排除されている(と錯覚できる)ため、必ずしもハッピーエンドに至るとは限らないという緊張感が最後まで保たれ続けているのが絶大な効果を上げていたように思います。ぜんぜん起承転結にはなっていないのに、先が気になってしょうがない読者を一気読みさせる牽引力がありました。
「痴漢に間違えられたことをきっかけにあれよあれよという間に女の子との縁ができてしまう」という前半の流れも、恋愛に慣れない主人公にとっての一種のファーストコンタクトもの(えー)として楽しむことができました。ただし後半になるとお話は本格的な恋愛物語の様相を呈してきて、そのもどかしさや切なさ胸キュン空元気など、何か変化があるたびにこちらまで一喜一憂。いい時間をお付き合いできました。眠れない夜に読むといいです。