『狂乱家族日記 番外そのいち』

狂乱家族日記 番外そのいち (ファミ通文庫)

 外伝短編集。日日日さんはまだ短編書くのが苦手そうな感じで、どうも長編とあまり変わらない方法論で短編を書こうとしている様子がありました。尺の短い短編で面白さを出すには、その短さを挽回するインパクトやアイデア、鋭さが必要で、そういった要素がない短編は「短くて読み応えのない話」にとどまってしまうのです。

 比較的面白かったのは三番目に収録されている「月曜日に猫を拾う」で、乱崎家の面々がほとんど登場しないためあまりドタバタがなく、ちょっと異色な作品になっていました。本編のストーリーと繋がっていそうで、でもどう繋がっているか分からないという微妙な位置を保ってもいたため、それが読者の興味を牽引してくれていたと思います。

 家族全員に出番を与えようと頑張っているのは見えるんですけれど、戦闘要員でなく萌え要因としても微妙な銀夏さんだけはどうにも割を食ってしまってる気がします。このままでは空気化の危機……。ただ、本編の方では銀夏さんと他キャラクターとの因縁が多めに設定されてるような素振りはあるので、その辺バランス取ろうとはされてるのかもしれません。銀夏さんがんば。