山ん中の獅見朋成雄

山ん中の獅見朋成雄 (講談社文庫)

 一個先の展開が読めず、どんどこどんどこ予想外の新展開が連続する真っ暗ジェットコースターみたいな小説。ただし終着点が降り場でなくカタパルトになっていて、勢いに任せて読者を空中に射出したところでお話は終わります。

 だから、結局どこに着地するかまでは作中で明示されません。ただし適当な方向に投げっぱなして有耶無耶にしたのかというとそれも違って、カタパルト射出の方向性自体はとても明確なのでした。関数と初期条件は与えたので後は勝手に計算しとけという感じ。ズドーン。

 モヒ寛さんの事件では、最初そのシーンに差し掛かったとき早とちりして誤読したら、実はその誤読内容こそが真相だったという捩じくれた現象が発生しました。ていうか警察気付きましょうよって思うんですけど、検死ができないとあんまり精度の高い原因究明ができないのかもしれません。死者は語る生者はあまり語らない。