『ひぐらしのなく頃に祭 第肆章 祟殺し』

ひぐらしのなく頃に祭(通常版)

 壱章、弐章、参章ときて肆章と、漢数字がちゃんと難しい方に統一されていることに微妙に感動。壱、弐、参までは難しい方を使ってても、そこから先は四、五、六と普通のものに戻ってしまうパターンが非常に多いので……。あ、でも表記を統一したらしたで、今度は読めない人がたくさん出てきちゃいそうですけどね。九頭竜閃。

 曲目の少なさが地味に痛いと感じます。一曲一曲は決して悪いものではないんですけど、使える曲が限られている以上「重要な場面で初登場曲/レアな曲をかける」といった演出がなかなかできないんですよね。

 あとは原作では凄くダウナーな曲がかかってたシーンでハードな曲がかかることもあって、そういう時も違和感を覚えます。ただしこれはプレイヤーの方が原作に引っ張られて奇妙さを感じているだけなので、文句をつけるのは原作ファンの我儘かなとも思います。初プレイの人には全然関係のない話ですし。

 中盤で鉄平の登場するシーンが少しだけあったんですけど、ここで立ち絵が表示されなかったのは忘れてたのか、それともたった一シーンや二シーンなら別にいいやと判断されたのでしょうか。知恵先生や熊谷さんは原作に立ち絵のないシーンでもちゃんと表示されるようになっていたので、少し違和感を覚えました。

 この編の前半はまるまる沙都子ちゃんのかわいさで出来ているといっても過言ではないんですけど、絵のかわいさではやっぱり原作に軍配が上がってしまうかなと思います。原作とゲーム二枚の沙都子ちゃんの笑顔*1を並べてどちらが幸せそうかと比べると、やっぱり原作の方が幸せそうだということになると思うのです。同様に、物語後半に見せ始める彼女の悲痛な表情についても、原作絵の方がその痛ましさは直接的です。別に原作の絵の上手下手や表現力の有無を言うつもりはなくて、言ってみればゲームの方が表現を大人しめに抑えているといった感じなんですけれど。

 逆に普段のシーンの絵柄なんかは、感情の起伏表現にあまり差がない分プロの絵であるゲーム版の方が安心して見れます。何より人間の演技の力はやっぱり大きいもので、沙都子ちゃんというキャラクターを原作には不可能な方面からアプローチできるのはとても大きいです。

 本作は基本的に、綿流し祭の終わる後半までは主人公に声が当てられない仕様になっています。この編は綿流し前から主人公の大きな見せ場があるので、そこに声が当てられないことは残念だと思っていました。けれど製作側もその点は配慮してくれていたようで、「後半」を綿流し祭の数日前という早いタイミングから開始することで「肝心なシーンに主人公の声がない」という事態が回避されていました。これは正直ひと安心。

 今回は、規制によって修正されてしまった箇所が比較的多くありました。特に沙都子ちゃんに対するアレの表現が大幅に緩められていて*2、でも周囲の反応は原作通り、というところで、周りの人々がなんだか過剰反応しているように見える結果になってしまっていたかもしれません。残酷表現や性的表現が規制されるのは分かりますけど、こういった社会表現的な部分まで待ったがかかるとは思っていなかったのでちょっと驚きました。

 うーん、それにしても書いてることがどうにも重箱の隅ですね。なにぶん本筋については散々書いてきてるので、あとは原作との差異とかそういう部分に目が向いてしまうのですあうあうあ。早くゲーム版オリジナル編に辿りつきたいものなのです。

*1:祟殺し編初登場の方。

*2:痣の描写がカットされたのは大きかったです。