『それでも町は廻っている(1)』
ミステリー大好きな作者が下町商店街コメディを描いたらこうなるよという。第6話*1の最初と最後を繋げる構成が完璧すぎて、これはミステリーの人の技だなあと感心しました。探偵やトリックは出てこなくとも、ミステリー的な発想が細部に宿ってる感じです。
木星調査のアメリカ人の台詞回しが最高でした。「ヘイ ジョージ どう思う?」とか、いかにも翻訳しました的な口調で喋りつつ、内心の独白では思いっきり話し言葉で関西弁まで交えて突っ込み入れてる様子が楽しすぎました。「お祭始まってるやん!」
数学先生はボケを真顔で叱ったりとかするお約束ブレイカーっぷりがいい感じですけれど、そのカタブツさはあまり数学者的カタブツさでもないですね。数式で表せないものを無理矢理数式に埋め込むのは、数学的思考とはわりと逆ベクトルな気がします。かわいそうな先生……。
絵については、不細工顔やおじさん顔おばあちゃん顔を丁寧に描いてる人だなあと。ちゃんと味があるし、むしろヒロインより凝ってたり。あとおばあちゃんがメイド服似合すぎです。
*1:辰野さんが真田君を映画に誘おうとする話。