『ひぐらしのなく頃に祭 第伍章 目明し』

ひぐらしのなく頃に祭(通常版)

 悟史君悟史君悟史君悟史君……。(爪を噛みながら) の第伍章。遂に後半戦に突入ですけど、既にプレイ時間が40時間越えてます……。

 七つある鍵を扉にひとつずつ試していって正解の鍵で扉が開くまでの期待値は7÷2=3.5じゃなくて(1+2+3+4+5+6+7)÷7=4だと思うのです……という冒頭へのツッコミを我慢できませんでした。せっかくのコンシュマー化で修正の機会があったのに、誰も気付かなかったんでしょうか。重箱の隅ですごめんなさい。

 立ち絵関連で気になることがやっぱり幾つか。まず詩音さんの忠臣・葛西さんの立ち絵が、初登場シーンで表示されないということがありました。その後の登場シーンでも彼の立ち絵はなかなか表示されず、ようやくその渋いお顔を拝めたのは作中でも初登場から数日が経過したという頃でした。

 というのも、「車の中」や「部屋の天井」など、視点の角度的に「立ち絵を表示するに相応しくない」背景絵が最初のうち連続して続いたからです。その背景でむりやり立ち絵を表示すると、車内空間を無視したり天井に浮かんだりしてしまうので具合が悪かったのでしょう。初登場時に視覚情報が提示されず、後から与えられることになる……というのは、ちょっとおかしな感覚でした。

 そのわりに、一面真っ青な青空が背景絵のシーンで悟史くんの立ち絵が普通に表示されたりもしたので、悟史君浮いてる! 飛んでる! 青空に思い浮かべられてJOJO第三部のラストみたいになってる! とか恐れ戦いたりとか。集団製作ということで、この辺の基準はどうしても曖昧になってしまうのかもしれません。

 あと葛西さんが普通の表情で喋るときの口の中が色を塗り忘れられるっぽくて真っ白だったり、祟殺し編で未登場だった鉄平の立ち絵が本編では些細なところでいきなり登場したり*1。色々と、連携のとれ切れていないところがあったのかなあと思います。

 今回は半分過去編ということで、本編の時代には登場しない悟史くんに焦点の当たる編だったわけですけど、声優さん演じる悟史くん像がけっこう原作とイメージ違って新鮮で面白かったです。いえ、普段のおっとりしてる状態の彼はほぼイメージ通りだったんですけれど、家庭の事情が切羽詰って荒れてきてからの悟史くんの演技に、なんか妙な凄みがあったのです。こ、こんなアグレッシヴな悟史くん見たことない! ほんまもんの殺気が出とる! ひぎぃらめぇ! みたいな感じでたいそう堪能いたしました。

 ただ、悟史くんに限らずこのゲームではときどき「声を潜めた会話」がBGMに負けて本当に聞き取れないことがあって、これはちょっと何とかしてほしいところではありました。プレイヤーは設定でBGM音量を低めにしておくのがよいかと思います。

 声といえば、同じ声優さんが二役を演じ、更には頻繁に入れ替わりまでする園崎姉妹はやはり聞いてて色々興味深いです。文字媒体の原作ではどうしても敬称や語尾を見て彼女らが「どちら」として振る舞っているかを判断しなければならなかったのですが、声優さんの演技が加わるったゲーム版は声色でだいたい判断できてしまいます。このシーンは「こっちのキャラ」として振る舞っていたのか、というのがはっきり分かるという面白さがありました。

 後半の残酷描写は、やはりかなりの部分がカットされてしまっていました。描写を削ったり緩めたり、そもそも「やらなかった」ことになっているシーンまであって世の中大変だなと思います。まあ具体的な「残酷描写」はこれ以降原作でもあまりなかったような気がするので、致命的なことにはならないだろうとも思いますけど。

 それにしても、なぜか「きゅんきゅん☆」が省かれていた*2のは残念でした。「きゅんきゅん☆」だけはぜひ見たかった……むしろ声優さんの演技として耳で聞いてみたくすらありました。

 テーマ曲「You」が流れない分、ラストの余韻は弱いかと思われたんですけれど、それにも増して最後の最後に現れた一枚絵のCGが凄い迫力でした。これはもう、ちょっとずるいなあと思うくらい。このゲームをプレイしていてはじめてCGを使った「力」のある演出が見れたなあという思いです。

*1:ゲームから入った人は、一瞬「誰これ?」って思うんじゃないでしょうか。

*2:記憶にないので省かれてたように思うんですけど……勘違い?