『昴(2)』

昴 (2) (ビッグコミックス)

 幼少時代を描いた一巻から時間は進み、十五歳の昴さんが描かれています。とても中学三年生には見えませんけどそれはそれ。

 緊張感のものすごかった一巻と比べると、「バレエの道に進む」と決めて一直線に歩み始めたこの二巻には軽快さがあります。どうやって目標を実現させるかという技術的なところでの葛藤や悪戦苦闘はあるんですけど、第一目的としての「コール・ドを成功させる」がはっきりしているので、お話がストレートなんですね。

 ここまで読んだ感じ、本作は主人公すばるさんの「才能」を描くことを中心とした作品のようです。この二巻では、彼女の天性の素質とひらめきによって、並みの人間の努力が蹂躙される様子が描かれています。

 そんな中、やはり蹂躙される者の一人として描かれる主人公の友人・真奈さんの視点が興味深いです。主人公に自分の出番を取られて明白な敵愾心を抱きつつも、ふとしたはずみに「この子……もしかして私のこと好きなんじゃないの……?」とか考えてしまう彼女の混乱っぷり。なんかえらい可愛いんですけどどうしましょう。