『Boy's Surface』
書くといってた各話の感想を書き忘れてたので書きます。
Boy's Surface
表題作。恋愛についての過剰に普遍的なアレ。数学的概念を擬人化とかして人間の側に引き寄せるのでなく、数学的概念そのものにナチュラルに感情移入してしまうのが円城さんの強さなのかなと思います。
レフラー球の発想が凄いです。これも一種の塵理論? と思わなくもありません。「センスオブワンダー」って、幻想小説とSFが共通して抱くことのできる価値観だと思います。それでこのお話はSF読み向けに特化して書いたらしいので前言ってた私の読みは見事に外れました。ぎゃー!
Goldberg Invariant
定義したものは存在します的世界? キャサリンと聞いてスーパーマリオUSAのキャサリンしか想像できない私はもうだめです。
「この地平に垂直にそそり立つ柱が存在しており、直交するが故に私たちには感知されていない」あたりに痺れました。そりゃ、平行世界があるのなら直交世界もあるでしょう。こういうのは過去のSFにもありそうなネタなので、なにか元ネタがあるのかもしれませんけれど。
Your Heads Only
この作品は、わざと読者を混乱させるような書き方がされていてたちが悪いですね。こういうことする円城さんは確かに意地悪。「そこに意味があるのかも」という偽装真理の罠で私たちを絡めとろうとしてきます。
2003は、公共の場で読んでいて笑いをこらえるのに一苦労。お話としては、川上稔さんの『終わりのクロニクル』あたりに案外近い気がしましたよ。
Gernsback Intersection
「白熊が、白熊がいます!」笑い死にます。なんかこんな白熊が大挙して押し寄せる光景を想像してしまって私涙目。
円城さんの書く女の子はかわいすぎますね。数学のいける女子高生を100人くらい集めて円城塔を読ませる企画とかどうですか。