『GOTH』

GOTH (角川コミックス・エース)

 ごすと言えば今ではごっすんごっすん五寸釘ですけど、かつては乙一という作家がミステリー大賞を受賞した妖怪大戦争小説のことをを指したのですよという老人のたわ言は本当ですかコミカライズ。大岩ケンヂさんの漫画は初めてですけど、やっぱりいい絵を描きますね。

 ヒロイン森野さんのなんちゃってミステリアス少女っぷりが非常に魅力的で、これだけでもうお腹いっぱいです。なんか神秘的な雰囲気をたたえた深遠な理知を隠しているかに見えて、回を追うごとに実は特に何も考えていないことがどんどん顕わになっていき、ていうかこの子あたま悪いんちゃう? ストレートにバカ? カマトトの反対? そしてそのくせ知ったようなポーカーフェイスっぷり、ちょっと変な感性の美少女は黙ってれば勝手に信仰を集められるという性質を体現したとっても素敵なヒロインでした。

埋めてみたくて……埋めました

 それにしても、このセリフがやっぱり印象的。原作を読んだときも、同じところが強く印象に残っていました。

 作者自身の言葉にもあるように、基本的にこの作品のサイコさんたちには内面がありません。こう行動させたら危ない奴に「見える」という、あくまで外面だけが考えられています。そういった作品だからこそ、一瞬だけ垣間見えるハリボテのその「中見」に、何かを感じてしまったのかもしれません。