『喜劇駅前虐殺』

喜劇駅前虐殺

 ポストに選ばれた人が全身ありとあらゆるところに手紙を突っ込まれまくる社会のあり様を描いた「駅前郵便」。自殺者が雨あられと降り注ぐ社会での天気予報のあり様を描いた「駅前予報」。などなど、奇想的な一話一テーマで血みどろ社会を描いていく短編集。お話ごとにテーマは異なりますけど、とりあえず何かあれば脳みそや糞尿が飛び散ったり、その辺の一般人がすぐ集団強姦魔になったりするアレダイナミクスは全編に通底しています。

 飛び降り自殺者の豪雨が降り注いだ後、子供たちが死体の肉片で雪だるまを作ったり雪投げをしてるコマが最も衝撃的でした。除雪車が地面から吸い上げた何かをドドドドドと放出してたり、死体避けの鋼鉄の傘を指すためだけにパワードスーツが用いられていたり。

 その辺歩いてる女の子がいきなり襲われて、全身の穴という穴に郵便物を詰め込まれるみたいな展開に、独特の加虐嗜好みたいなものが感じられて素敵です。読んでいてあまり後味悪く感じたりしないのは一体どういう切断作用ですか。何事も過剰になると現実味がなくなるということですか。ちょっと不思議です。

 このご本は昨日のデザイン・フェスタで駕籠さんから直々に買いました。サインまでもらえちゃって狂喜乱舞したのですよ。わぁい!