『日蝕』

日蝕 (新潮文庫)

 6年ぶりくらいの再読です。以前ハードカバーで読んだ時は、まあ完全にかっこつけたいだけの動機だったので、当時と比べるとそれなりに理解できる部分は増えたのかなと思います。なにせ昔は、「私は何という懼ろしいものを見てしまったのでしょう。それは二人で、しかも、うしろから交わっていたのです!」のところで大笑いしてましたからね。後背位がキリスト教文化でどいういう意味を持つかとか、ほとんど考えもしてなかっのです。ひどい読者でした。

 「物語」としてどいういう風に捉えればいいのかは、まだ掴みきれません。でも描写自体が面白いですし、擬古文風の文体の割に妙に読みやすかったりするので、小説として興味深く読めたという気はします。通過儀礼とか、その辺はどうもまだ説明されてそういえばそんな気もするかなと思えるくらいで、それを実感できるには至っていません。その辺、見受けるようになればご本の読み方の幅も大きく増えるのかなー、と将来に期待しています。