『デイドリームネイション』

デイドリームネイション 1 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

 kashmirさん初の非四コマ作品(でしたっけ?)。神様が降臨してもだからどうということのない、漫研のだるだるした日常が描かれます。四コマという形式が取っ払われることで散文度がアップし、kashumirさんの脳内をまさにそのまま垂れ流しているかのような不思議空間が形成されています。

 起承転結が四段階で完了する四コマ漫画が極めて「離散的」な表現だとすれば、数ページをかけて起承転結を描く非四コマ漫画はもう少し「連続的」な表現です。kashmirさんの強烈な個性である一枚絵の「瞬間的」な表現は、だから「繋ぎ」のシーンの必要な本作では少々抑えられています。

 一方で、kashmirさんの異様な言語感覚は本作でより印象に残りました。こちらの方は特にキメの一瞬がなくても常時散文的に垂れ流されるので、非四コマと相性がよかったのかもしれません。*1

 本書は表紙のデザインがすごくいいです。天地の逆転したこの構図はかなりショッキング。毎回本を手に取るたびにはっとさせらててしまいます。どうやら調べてみるとこのデザインを手掛けたのはよつばスタジオの人らしくて、いい仕事だなあと思いました。大きめの書影も表示しておくので、どうぞ堪能してください。


*1:幼女の「ぐぐれ!」とか、一枚絵と異様な言語感覚がマッチしたときの破壊力にも目を見張るものがありますけれど