EDENが完結してたので - 『EDEN It't an Endless World(18)』

EDEN(18) <完> (アフタヌーンKC)

 完結。ええと、約10年の連載ですか。私が読み始めたのは時期的にたしか5巻が出たくらいの頃からでしたけど、それにしても7年かそこらはお付き合いしてきたことになります。なんか一区切りがついた感じで、たいへん感慨深いものがあります。

 不完全なお話ではあったんだろう、と思います。もともとは第一話だけが、読み切りの短編として描かれる予定だった作品です。実際、全体の構成として見ると、一本道にまっすぐ進んだお話とではありませんでした。専門的な分野を扱っているだけに、そっち方面の整合性で色々言われることもあったでしょう。登場人物、特に女の子を出てくる端から殺していく特徴も、途中から手癖みたいになってしまっているきらいはありました。

 と、語ろうとするとなぜか悪口ばっかり出てきちゃうんですけれど、それにしてもぐちゃぐちゃした魅力がある作品だったと思います。SF表現などはなかなか読みごたえがありますし、民族虐殺をはじめとした世界情勢の描写は(その正確性はともかく)凄絶でした。でも何よりも、いい意味で(悪い意味もあるかもしれませんけど)作品の裏から滲み出してくる作者の懊悩、このどこにもやり場のない感をこそ追い続けていたのかもしれないと感じます。

 考えてみると、無茶な作品かもしれません。舞台としてはSF的近未来と逼迫した世界情勢を描きつつ、その実それらを通して表現されているものは「若者の青くさい懊悩」だったのですから、それはいびつにもなるでしょう。だから、この作品が描く世界情勢がどこまで現実を反映できていたかは分かりません。でも、そうして描き出された世界を登場人物が憂う眼差しの中には、たしかに「若者の青くさい懊悩」があったと思うのです。

 最後のオチについては、「新しい答」ではないかもしれないけど「あるべき答」だなあと思いました。こうやって紡いできた物語の最後にこういった結末を置くことには、きっと意味があるのでしょう。同じ種族がああして絶対的に違えた道に別れていく、というイメージは、たしかにひとつの作品の結末として相応しいものであったかもしれません。