竜宮レナはヤンデレじゃない!

 これらの記事はそれぞれ興味深いのですが、その本論とはまったく関係ない話を。世間一般における竜宮レナさんの受容のされ方が、あまりにもあんまりだと思い……。あんまりだと思ったので キャラクターの性格の話をします。キャラクターの性格の話をネタばれと感じる人がいるかもしれません。


 ヤンデレの解釈にも色々ある*1ようですから、あまり細かい定義をごちゃごちゃするもんでもないと思うんですがー。でも、わざわざヤンデレという名前をつけるくらいなんですから、少なくとも「"恋愛感情"が高じて異常な行動をとる」というポイントくらいは押さえてほしいし、そうでないなら誤解なきよう断りくらいほしいもの。そして、なぜか「ヤンデレ」の代表として扱われることの多い『ひぐらしのなく頃に』のヒロイン・竜宮レナの狂気には、実はまったく恋愛感情が関わっていません。

 まあ本編の内容知ってる人には自明のことなんですけど、彼女が恋愛感情に狂って凶行に走るような描写って、作中に一切ないんですよね*2。彼女の異常な行動は

  • 家族を守るため
  • 仲間を守るため
  • 村を守るため

 など、恋愛っ気のない動機を基本としています*3。彼女が思い切った行動をとるのはいつも友愛精神の発露であり、そこに恋愛感情の入り込む余地はありません。(「恋愛対象」であるはずの主人公・圭一くんが、いざという時「使えねーヤツ」的な扱いでしかなかったことからも、これは明らかな話です)

 つまり、女の子が凶器振り回してるだけで、その理由も考えず何でも「ヤンデレ」と呼んでしまうのはいかがなものかということです。もちろん「友愛も含めてヤンデレと呼ぶ」と取り決めて話を進めるなら、別に問題ないと思います。でも、そういう断りもなく無造作にヤンデレと呼び続けては、「恋に狂って凶器を振り回す」という誤ったイメージが広まってしまうこともまた避けられないでしょう。

 いえ、別にそれでも誰が困るんだって話なんですけど、傍から聞いてていつもむずむずしてたんですよ! 「ゲームの主人公である前原圭一に病的な恋心を抱き、嫉妬によって他のキャラクターを殺す」とか、原作まともに読んでたら絶対出てこない解釈なのに! ぎいい! おのれディスコミュニケーションめ!

 あー。まあ原作崩しネタとして「恋に狂った竜宮レナ」という定型が出来つつあるのなら、それはそれでどんどんやればいいと思います。ただあんまりそっちばかり広まりすぎて、本来のイメージと乖離しちゃうのもあれなので、たまにこういう隅っこで「実はこういう話なんですよー」とトリビア垂れる人がいてもいいかなー、という話でありました。

 あとそういえば、ひぐらしのもう一人の「彼女」はまさに恋愛感情を引き金にして凶行に走った人ですから、この人こそヤンデレと呼ぶにふさわしいキャラクターでしょう。みんなひぐらしヤンデレの話をするときは、レナさんよりももう一人の「彼女」の方の名前を挙げればいいと思いますね。思いますのんね。

*1:「周りの女は手にかけても、思い人には決して決して危害を加えないのが真のヤンデレ」とか。

*2:もちろん日常シーンのドタバタギャグは置いといて。

*3:もちろん切羽詰まってくると「自分自身を守るため」というのも出てきますが。