『Doubt(4)』

Doubt 4 (ガンガンコミックス)

 完結。

 ぱっと見の印象と異なり、けっこうパズル的なところが作り込まれた作品だったと思います。閉鎖区画内で、人物ごとに移動可能な範囲が異なり、また犯人だけはそのルールから解放されているはずである、という。隅々まで理解し尽くそうとすればかなり頭使わないといけない状況でした。

 ただし作中、そういうロジカルな部分に対する言及が十分でなく、一読する程度では理解しにくい、読み流してしまうという弱点があったように思います。本当なら「奴がここに来られたのはこれこれこういう理由で……」というロジカルな驚きを見いだせる部分なのに、「奴が犯人だったなんて!」というレベルの理解で流されてしまうような。たとえば図表や俯瞰絵などをふんだんに使ってこの辺を常時説明しておけば、また違った感想が抱けたかもしれません。

 このまま終わっちゃうのかな? と思ったらさすがにもう一波乱あって、この限定状況から導けるものとしては上手いことまとまるオチだったかなと思います。ネタとしては新奇ではなく、無難にオチをつけるなら当然そうなるだろうなあという予定調和的なところでしたが、構図自体はけっこう面白かったのかなとか。

 やはりフェアネス云々での批判が多いようですが、あのくらいなら作者の"語り"と"仕込み"次第でどうにでもなるはずのものだったと思います。「やっちゃいけないことをした」というよりは「やる準備が足りなかった」のだろうと。そういう素材の扱い方とか、犯人の動機云々というところの説得力にどうしても弱さを感じたりはしますが、これはもう作者の"漫画を描く力"次第でいかようにもなるものでしょう。そういう意味で、同じジャンルでもしかしたら続編かもしれない次回作では頑張ってもらいたいところです。