『屍鬼(7)』

屍鬼  7 (ジャンプコミックス)

 この物語の中でほぼはじめてといっていい「カタルシス」が、"あの二人の邂逅"という形で遂に描かれたなりましたねっと。今回もたらされた「希望」は、作品全体をとりまく絶望的状況の中では、本当にごく僅かなものにすぎません。でも、過去の6巻まではそれこそ「絶望」しか描かれていなかっただけに、ようやく灯ったかすかな光が、相当眩しく感じられたのでした。

 藤崎さんもこのシーンの演出が非常に上手くて、あくまで「抑え」に徹した描写をしているのが印象的でした。場面を決して派手にすることなく、あくまで淡々と会話を交わすのみ。その静寂にこそ、真に万感に値する感情表現が秘められていたと思います。本シリーズを通しても、最高に位置する名シーンに感じられました。